マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
J-REIT価格は、順調に上昇しています。前回の連載日(2月18日)翌日から東証REIT指数は1,800ポイントを超えて推移を続け、昨日(3月2日)は1,891ポイントとなりました。1月20日の年初来安値1,620ポイントに対しては16%程度、15年末の1,747ポイントに対しては8%程度のそれぞれ上昇となっています。
株式市場は日経平均株価が昨年末から12%を超える下落となっていることと併せて見るとJ-REIT価格に過熱感を感じる投資家もいると思います。しかし、15年1月から6月の上半期における東証REIT指数の平均は1,871ポイントでした。15年上半期は、日銀の追加金融緩和が遠のくという観測が主流であったことを考慮すれば、マイナス金利政策下で東証REIT指数が1,900ポイントを超えていても高値とは言えない状況です。
ただし、少なくとも3月中はJ-REIT価格が安定的な上昇基調を続けることは難しいものと考えられます。その理由は、マイナス金利の影響を強く受ける金融機関がJ-REITの主要な買い手となっていますが3月は決算期にあたるためです。
3月の金融機関は、決算を控えて損失回避の動きが強くなる時期です。マイナス金利が続いている間はJ-REIT市場には死角が少ない状態ですが、株式市場には波乱の要因が少なくありません。例えば2月に開催されたG20では、円安に対する懸念が多く出ていましたので海外の市場動向によっては為替が円高に振れやすくなっています。
従って株式市場が大幅に下落するような局面になれば、J-REITを売って売却益を確保する動きが強まりそうです。多くの金融機関が同様の投資行動を取ると、主要な買い手が突然売り手になるため、J-REIT価格も急落することは免れないでしょう。直近の事例としては、マイナス金利政策の実施後に東証REIT指数が1,700ポイントを割り込んだ2月12日は、株式市場の大幅な下落の影響をJ-REIT価格が受けた時期となりました。
このように3月のJ-REIT価格は、株式市場の影響を強く受ける時期となりそうです。この時期のJ-REITの投資戦略としては、すでに保有銘柄の含み益が10%を超えていて株式市場の混乱を見込む投資家であれば、利益確定を検討すべきと考えられます。
当面のJ-REIT価格の上昇目安となる東証REIT指数は2,000ポイントですが、その水準まで上昇しても現状からは5%程度の価格上昇です。一方で東証REIT指数が2月12日のように1,700ポイント程度となった場合には下落率は10%を超えますので保有銘柄の含み益が無くなる事態も想定されます。
一方で株式市場の混乱がないと考える投資家であれば、2月4日の連載で東証REIT指数が1,850ポイントを超えたら利益確定の必要が高いと記載しましたが、保有し続けるという選択肢も有力となりそうです。その理由として、金融機関が新年度入りする4月になれば金融機関は3月以上の積極的な投資が期待できるためです。
次回の連載(3月17日予定)では、4月に想定される上昇局面で有望となる銘柄について記載する予定です。
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
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