第93回「全世界株式ETF(VT)の使い方」 ETF解体新書

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第93回「全世界株式ETF(VT)の使い方」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。以下、突拍子もない想像で恐縮ですが、もし宇宙人が地球探索の一環として投資活動を行うなら、世界の株式をまんべんなく保有しようとするのではないでしょうか。宇宙人は地球の国・地域に特に思い入れはありませんから、各国の株式市場の大きさ(時価総額)に応じて、国・地域の組入れ比率を決定する道具を選ぶはず・・。このようなコンセプトを有するのが「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)です。同ETFは2008年に米国市場に上場。「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」との連動を目指します。同指数は世界の大型、中型、小型株約8,000銘柄で構成され、先進国、新興国市場を含めた47ヵ国の株式からなります。
世界の投資家は自国の安全資産とこのVTを組み合わせて自身の資産配分とすることが可能です。投資家が背負うリスク量はVTと安全資産の保有割合で調整できますから、安全資産+VTも立派なポートフォリオと云えるでしょう。あるいは債券ETFを組み合わせて、株式50%、債券50%のポートフォリオを組成することも可能です。一例ですが、VT50%、BND(米国総合債券ETF)20%、IGOV(世界国債(除く米国)ETF)20%、EMLC(新興国債券ETF)10%という組み合わせができます(いずれも米国市場上場)。

また日本の投資家で、自国の個別株、あるいは個別の債券、実物不動産などに投資が偏っているケースでもVTは有効な投資対象となります。なぜなら、この一本で世界の株式に最大公約数的に投資が行えるからです。世界株式に一定のポジションを置くことは、世界の経済成長を取り込む有効な手段となります(VTは、全世界の投資可能な株式市場時価総額の98%以上をカバーしています)。
また、複数の株式ファンドを自ら組み合わせる投資家にとっては、VTが世界の株式市場の勢力図を示す「鏡」となります。米国バンガードのVT該当ページを見ると、「Portfolio composition」で地域別の組み入れ比率が確認できます。1月31日現在、新興国 8.10%、ヨーロッパ 21.80%、太平洋 14.10%、中東 0.30%、北米 55.70%、その他 0.00%となっています。
https://personal.vanguard.com/us/funds/snapshot?FundId=3141&FundIntExt=INT

VTの地域別組み入れ比率が投資家の資産配分の参照となるわけです。また、VTの「ファクトシート」(日本語)を見ていただくと、「ETFの主なデータ」のところで、VTそのものと連動を目指す指数の株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)が確認できます。これはVTというプロダクトを通じて、世界株式の割安感、割高感を肌で感じるということです。
https://www.vanguardjapan.co.jp/docs/FS_VT_JP.pdf

今から20年後、VTにどの国の株式がどのくらいの割合で組み入れられているのでしょうか。その変化の度合いが個人的に楽しみです。

■マネックス証券では海外ETFも取り扱っております。個人では投資が難しい新興国や金などの商品へ投資が可能です。
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G600/etf/index.htm

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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