マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。世の中に役立つツールとは、「それが存在しなかった状態が考えにくい道具」であると云えます。新興国の国々に広く投資を行うETFもそのひとつでしょう。新興国株ETF組成の前提となる指数、MSCIエマージングマーケッツ指数は、1988年にその算出を開始しました。当時まだ発展途上国と呼ばれていた地域を「エマージング・マーケッツ(Emerging Markets)」と命名したのは秀逸だったと思います。同指数の算出開始当時、指数に組み入れられていたのはマレーシア、ブラジル、メキシコ、タイ、チリなどの国々でした。今日、同指数は23の国、地域からなり、地理的にも経済の発展度合いで見ても多様性に富んだ指数となっています。
まず、同指数には先進国に近い経済レベルの韓国、台湾が含まれます。BRICSと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカは指数内で大きなウェイトを占めます。また東南アジアではタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン。すでに大きな経済規模を誇るメキシコ、トルコも構成国です。欧州ではチェコ、ハンガリー、ポーランド、ギリシャが組入れ対象。中東・北アフリカではカタール、アラブ首長国連邦、エジプト、南米ではペルー、チリ、コロンビアが含まれます。
このMSCIエマージングマーケッツ指数に小型株を加えた包括的な指数が、「MSCIエマージングマーケッツ・インベスタブルマーケット指数」です。当該指数との連動を目指すのが、「iシェアーズコアMSCI エマージングマーケッツETF」(IEMG)です。IEMGは純資産額が90億ドル余りで、直近3カ月の1日あたりの出来高は600万口を超えています。新興国を包括するETFでありながら、年間経費率は0.16%と低廉です。また、当該ETFをJDR形式で国内に上場させたのが「i シェアーズエマージング株ETF」(1582)です。
もうひとつ、新興国株ETFで外せないのが「バンガードFTSEエマージングマーケッツETF」(VWO)でしょう。当該ETFはFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ中国A株トランジション指数との連動を目指します。当該指数は移行用インデックスであり、最終的にはFTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)指数となります。同指数はMSCIエマージングマーケッツ指数と違い、中国A株を組み入れ、またパキスタンも構成国に含みます。逆に韓国、カタール、ギリシャの組入れはありません。VWOは直近3カ月の1日あたりの出来高が2,100万口を超え、米国で純資産残高トップ10に入るメジャーなETFとなっています(さらに当ETFの年間経費率は0.15%です)。
新興国株ETFは年月とともに構成国を変遷させ、それ以上に組み入れる企業をドラスティックに入れ替えてきました。その事実はそのまま世界経済の成長を物語っています。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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