マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。株式ETFを組成する際に、金型の役割を担うのが「株価指数」です。株価指数は多くの場合、「時価総額加重平均」によって市場全体を再現しています。一例を挙げてみましょう。S&P500は米国の代表的な株価指数ですが、これは時価総額加重平均型です。S&P500の組入れ第1位はアップルで、組入れ比率は約2.94%です(アップルは時価総額ベースで米国最大の企業ですね)。一方、同指数の最小組入れはIngevity Corporationで組入れ比率は約0.006%と、1位のアップルとは雲泥の差があります(5月20日現在)。
アップルの値動きはS&P500指数に相応の影響を与えますが、Ingevityの株価が大きく動いても指数への影響はほとんどありません。これが「時価総額加重平均」の考え方なのです。
ところで世の中には「均等型指数」なるものが存在します(英語では「equal weight index」と云います)。S&P500の均等型インデックスは「S&P 500 Equal Weight 指数」と呼ばれます。同指数ではアップルとIngevity Corporationの株価がともに5%上昇した場合、指数に与える影響は同じになります(組入れ比率が均等であるためです)。つまり、均等型株価指数においては、中・小型株式が意識的にオーバーウェイトされるわけです。このS&P500均等型指数との連動を目指すのが「グッゲンハイムS&P 500 Equal Weight ETF」(RSP)です。当該ETFは2003年に運用を開始し、年間経費率は0.40%です。純資産額はおよそ90億ドル、直近3ヶ月の1日当たり出来高は約94万口となっています(5月20日現在)。
一方、組入れ国の比率均等を目指す指数も存在します。「MSCIエマージングマーケッツEqual Country Weighted指数」です。同指数は時価総額加重平均型の「MSCIエマージングマーケッツ(EM)指数」と組入れ国、構成銘柄において同じです。ただし、組入れ国の比率が均等であるため、同指数では「MSCI EM指数」と比べ、韓国、台湾、中国などの組入れ率が大きく低下し、その結果、サムスン電子や台湾セミコンダクターなどの大型株の組入れも比率が小さくなっています。この「MSCIエマージングマーケッツEqual Country Weighted指数」との連動を目指すのが「グッゲンハイムMSCIエマージングマーケッツEqual Country Weight ETF」(EWEM)です。運用開始は2010年で年間経費率は0.76%となっています。
新興国を概観すると、時価総額がより小さい国のほうが長期的な成長余力が大きく、また銘柄ベースで見ても、大型株より小型株のほうが長い目で見れば高い成長が期待できます。均等型指数はアクティブ的な要素を持った市場平均と云えるでしょう。
最後に、銘柄の均等、組入れ国の均等を目指す指数では、その資産バランスを維持するために、値下がりしているものを買い増すなど定期的なリ・バランスが必要になります。このため、均等指数との連動を目指すETFも年間経費率が多少高めになる点に注意が必要でしょう。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表 http://www.sinyo-fp.com/
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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