第99回 「生活必需品ETFについて」 ETF解体新書

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第99回 「生活必需品ETFについて」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。以前、雑誌の取材で「株式投資の初心者にどんな株を買うことをお勧めしますか?」と問われ、その時は「日常生活の中で親しみのある、自分が好きな商品・サービスを提供している会社を買ってみましょう」とお答えしました。世の中がどのように変わろうとも、生活必需品を提供する会社は簡単に消えてなくなることはありません。また、そのような会社は文字通り日常生活のインフラを担うため、世界のどの地域でも普遍的な需要が期待できます。

「生活必需品セレクト・セクター SPDRファンド」(XLP)は米国のS&P500の構成銘柄を9つのセクターに分けたうちのひとつです。当該ETFは1998年に米国市場に上場し、組入れ企業は38社、年間経費率は0.14%と低廉です。純資産額は90億ドルを超え、直近3ヶ月の1日あたり出来高はおよそ1,100万口となっています。
XLPの産業別構成比率は、食品・生活必需品小売23.63%、飲料20.36%、家庭用品19.45%、食品18.44%、タバコ16.73%となっており、上位6銘柄とその比率は、P&G11.59%、コカ・コーラ9.29%、フィリップモリス8.20%、アルトリア6.07%、ウォルマート5.94%、CVSヘルス5.81%です(いずれも6月2日現在)。
組入れ1位のP&Gは世界70ヵ国に拠点を持ち、その製品は180ヵ国以上で使用されています。読者の皆さんも台所洗剤(ジョイ)、紙製品(パンパース)、化粧品(マックスファクター、SK-II)などのブランド名をお聞きになったことがあるでしょう。

続いて、世界の生活必需品企業を集めた、「iシェアーズ グローバル生活必需品 ETF」(KXI)ご紹介します。
当該ETFは世界の主要企業1200社を10のセクターに区分けして組成された、iシェアーズ S&Pグローバルセクターシリーズの1本です。当該ETFは2006年に米国市場に上場し、構成銘柄は96社、年間経費率は0.47%です。KXIの国別組入れ比率は、アメリカ 53.87%、イギリス13.49%、スイス 6.85%、日本 6.52%、フランス3.77%、オランダ 3.61%、ベルギー 3.47%、オーストラリア 1.68%となっており、組入れ銘柄の1位はスイスのネスレです(いずれも6月2日現在)。
ネスレは世界最大の食品・飲料会社であり、2014年の地域別売上高は、南北アメリカ394億、ヨーロッパ259億、アジア・オセアニア・アフリカが263億スイスフランとなっています。興味深いのは先進国と新興国の売上比であり、先進国514億、新興国402億スイスフランと、その比率はおよそ56:44となっています。今後、新興国の生活レベルが向上するにつれ、生活必需品企業の製品ニーズが増していくことでしょう。
最後に、XLP、KXIとも、上場来の累積リターンはS&P500指数を大きく上回っています。


コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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