第102回 「債券こそETFで投資する」 ETF解体新書

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第102回 「債券こそETFで投資する」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。多くの人が債券に投資を行う際、個別の債券を思い浮かべると思います。しかし、個別債券への投資は株式における個別株の選択と同じです。すなわち、数多ある債券の中から文字通りピンポイントで投資対象をピックアップすることです。2002年に米国ではじめて債券ETFが登場して、広くパッケージの形で債券に投資を行うことが可能になりました。個別債券への投資には3つの問題点があると考えます。1.金利が固定化される。2.債券の満期時に新たな投資対象を選択する必要がある。3.投資通貨がひとつに限定される。
「金利が固定なのはETFも同じではないか」と思われるかもしれませんが、債券ETFでは満期の時期が異なる債券を多数保有します。個々の債券は必ず満期を迎えますから、そのたびに債券の買い替え需要が発生するわけです。金利が上昇した際は、新たに購入する債券の利率も上がっていますから、債券ETFは中長期的には金利の変動に追随しやすいと云えるでしょう。また、複数の通貨建て債券をパッケージ化すると、難なく国・地域、通貨の分散が行えます。

債券ETFに投資を行うなら、まずは米国上場のETFを目指しましょう。米国に上場するETFのうち、純資産額ベースでおよそ17%が債券ETFとなっています。まずは「iシェアーズ 世界国債(除く米国)ETF」(IGOV)をご紹介します。当該ETFはS&Pシティグループ・インターナショナルトレジャリーボンド指数(除く米国)との連動を目指します。当ETFはアメリカ以外の先進国国債を多数組入れ、そのうち約22%は日本国債となっています。このIGOVにプラスして、「バンガード・米国トータル債券市場ETF」(BND)を保有すれば、先進国債券を網羅することになります。BNDはアメリカ国債、地方債をはじめ、社債、政府保証付き住宅ローン担保証券などを組み入れています(組入れ銘柄数はなんと8,000以上。また年間経費率は0.06%と非常に低廉です)。
続いて新興国債券ですが、この投資カテゴリーは、米ドル建て新興国債券のみを組み入れるものと、現地通貨建ての新興国債券を組み入れるものに分かれます。筆者は通貨分散の観点から、現地通貨建ての新興国債券ETFをお勧めします。中でも出来高が多く純資産額が大きいのが、「ヴァンエック・ベクトル・JPモルガン新興国債券(現地通貨建て)ETF」(EMLC)です。当該ETFは2010年7月に米国市場に上場。純資産額は約17億5,000万ドルで、直近の分配金利回りは5%を超えています。
ちなみに組入れ上位10ヵ国は、ブラジル 9.28%、ポーランド 8.88%、メキシコ 8.76%、マレーシア 8.17%、インドネシア 8.03%、国際機関債 7.48%、南アフリカ 7.41%、トルコ 7.31%、タイ 6.67%、コロンビア 6.30%となっています(いずれも6月30日現在)。

最後に、米国市場に上場する債券ETFは毎月分配金が出されるため、投資家自ら定期的に分配金をETFに再投資し、複利の効果を得る必要があります。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表  http://www.sinyo-fp.com/

2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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