マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。資産運用の相談業務を行っていると、「債券ってその仕組みがよく分からないんです」という声をしばしばお聞きします。債券とは、お金の貸し借りに関する書類であり、借金の証書そのものです。お金の「借り手」は個人、企業、国、地方自治体などさまざまです。債券を購入するあなたはお金の「貸し手」となります。借り手と貸し手の間で満期の時期や利息の率を決め、債券が発行されます。貸し手はそのまま満期になるまで保有してもいいですし、債券を市場で売ることも可能です(需要と供給のバランスによって、債券の価格そのものが上下するのです)。これが債券市場です。お金の貸し借りの歴史はたいへん古く、今でも債券市場は株式市場よりその規模が大きいのです。
たとえば、国が発行するたくさんの債券(国債)をある一定のルールに従って指数化すれば、債券ETFが組成可能になります。2002年に米国ではじめて債券ETFが登場した際に、個人投資家には「ETFは債券にも対応するのか」という驚きがあったといいます。債券は株式に比べてローリスク・ローリターン型の資産であり、投資家にとっては物色しやすい投資対象なのです。
元来、債券は価格形成が不透明な資産でした。たとえば、証券会社を通じて債券の売買を行う際、「果たしてその価格が適正かどうか」を検証する術はありません。債券ETFはその内部に多数の債券を組み入れますが、個々の債券価格が適正にプライシングされてはじめて、債券ETFの正味価値(理論価格)が導かれます。したがって、債券ETFの登場が債券価格の透明性を向上させたと云え、これこそ債券ETF最大のメリットではないでしょうか。債券ETFの中でもっとも種類が豊富なのが、アメリカ債券ETFです。一例ですがアメリカ国債だけでも、米国短期国債、米国国債1-3年もの、物価連動国債、米国国債7-10年もの、米国国債20年超などのETFがあります。それから社債ETF、ハイ・イールド債券ETF、米国住宅ローン担保証券(MBS)のETFもあります。
続いて地域別債券ETFです。株式と同様、債券も国・地域、通貨を跨いでETFが組成されています。具体的にはアメリカ以外の先進国債券に投資を行うETFがあります。また、新興国地域の債券に投資を行うETFもあります。新興国債券ETFには米ドル建てのもの、現地通貨建てのものがあり、中には新興国のハイ・イールド債券に投資を行うETFもあります。グローバルな視点で見れば、株式ETFのようにフロンティア市場の債券ETFも望まれるでしょう。
ただし、債券ETFにはデメリットもあります。米国市場に上場する債券ETFはすべて毎月分配金を出すのです。分配金を使う目的があればよいですが、分配金をもらってもそれを自身でETF本体に再投資しない限り、複利の効果は得られません。投資家の目的に沿って債券ETFを賢く利用することが求められます。
コラム執筆:カン・チュンド
晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。
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