第108回「社債ETFの選択肢」 ETF解体新書

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第108回「社債ETFの選択肢」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。現在、先進国各国で超低金利が常態化しています。米国10年物国債の利回りは1.73%、ドイツ国債(10年物)は0.007%、
そして日本国債(10年物)は-0.05%です(10月21日現在)。より高い利回りを求めて、さまざまな債券を物色する動きが出るのは当然でしょう。たとえば、社債はポピュラーな投資対象ですが、クレジットリスクを計るのが難しく、また、個人投資家には選択肢も限られるため、国債に比べ利回りが高い社債に魅力は感じながらも、なかなか投資に踏み出せないジレンマがあります。そこで社債ETFの出番となります。
「iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF」(LQD)は2002年に米国市場に上場しました。当該ETFのいちばんの特徴は、組み入れ銘柄数が多いことです。米国の社債1,660銘柄を1本のETFで保有します(これによって、ETF投資家が背負う社債のクレジットリスクを限りなくゼロに近づけています)。加重平均残存期間は12.46年となっており、長期~超長期の社債をメインに組み入れていることが分かります。
残存期間が長い銘柄が多いため、債券価格のボラティリティが比較的高く、債券ETFの中では値動きが大きい部類に入ります。その一方で、長期~超長期の銘柄を主に組み入れるため、分配金利回りも比較的高いのが特徴です。LQDの分配金利回りは3.20%となっています。
一方、年間経費率は0.15%で継続コストは低いです。投資適格のボトムラインであるBBB格の社債が全保有銘柄の中で45%程度占めるのも特徴でしょう。LQDの業種別組入れは、銀行業26.99%、非景気循環間消費17.69%、通信12.88%、テクノロジー9.83%、エネルギー9.77%、景気循環消費7.88%となっています(いずれのデータも10月20日現在)。当該ETFの純資産残高は300億ドルを超え、米国を代表するETFのひとつとなっています。

次に、バンガード社が運用する3本の米国社債ETFをご紹介しましょう。「バンガード 米国短期社債ETF」(VCSH)、「バンガード 米国中期社債ETF」(VCIT)、「バンガード 米国長期社債ETF」(VCLT)です。それぞれバークレイズ米国社債の(1-5年)指数、(5-10年)指数、(10年超)指数との連動を目指します。純資産残高がもっとも大きいのはVCSHで約177億ドルとなっています。もっとも少ないVCLTでもおよそ20億ドルの純資産残高があり、直近3カ月の1日あたりの出来高は約18万口です。
各ETFが保有する社債の銘柄数も多く、VCSHは2,108銘柄、VCITは1,796銘柄、VCLTは1,765銘柄となっています(いずれも9月30日現在)。ただしLQDに比べると、VCSH、VCIT、VCLTとも業種別組入れが工業、金融系の社債に偏っている点に留意が必要です。最後にバンガードの社債ETFはいずれも年間経費率が0.10%と低廉になっています。今後、超低金利が続く中、欧州社債ETF、アジア社債ETF、新興国社債ETFなどのニーズが顕在化すると思われます。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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