マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
J-REIT価格は、軟調な展開が続いています。前回連載日(11月10日)の翌日から東証REIT指数は8営業日連続で1,750ポイントを割り込む水準での推移となり、本連載日の前営業日である22日は1,733ポイントで取引を終えています。
さて今回は、上昇基調にある株式市場とは異なりJ-REIT価格が低迷している要因について記載していきます。
まず株式市場と比較するとJ-REIT価格は低迷していますが、これは為替相場が円安に振れていることが原因です。同様な状況は、図表の通り為替相場が108円台から120円台へと円安になった2014年10月から2015年7月頃にも起きていました。為替動向によって収益が左右されないJ-REITとしては、当然とも言える状況です。
ただし、J-REIT価格が冒頭に記載した通り軟調となっています。この下落要因については、10年国債の利回りが上昇していることを要因とする考え方があります。10年国債利回りは、トランプ氏が次期大統領に決定してから上昇を続け、11月15日からはプラス圏内で推移しています。直近の動向を見れば、J-REIT価格の下落(利回りは上昇)と国債利回りの上昇は、同一傾向にあることになります。
しかし、J-REIT価格は、2016年の東証REIT指数を見ると4月下旬をピークとして下落傾向が続いています。一方で10年国債利回りは4月から7月下旬まで低下傾向を続けていました。10年国債利回りとJ-REIT価格の関係が深いとすれば、7月下旬までJ-REIT価格は上昇(利回りは低下)することになるはずです。従って、10年国債利回りが最近上昇していることが、J-REIT価格低迷の要因とは言えないものと考えられます。
次にJ-REIT価格低迷の要因として考えられる点は、外国人投資家の売り越し懸念が強いことが挙げられます。外国人投資家は、2016年にJ-REIT価格が大幅に上昇した2月から4月にかけて2,620億円を超える買越しを行いました。その後は売り越しとなる月もありましたが、2016年は10月まで1,783億円の買越しとなっています。昨年は年間では売り越しになっていた点から見て、外国人投資家の売り越し懸念は強い状態と考えられます。
また、マイナス金利導入で想定されていた金融機関のJ-REIT投資拡大は実現していません。2016年の金融機関の差引き売買金額は、10月まで384億円の買越しですが2015年(通年)の2,391億円と比較すると大幅に減少しています。
12月中旬に米国が利上げを実施すれば、J-REIT価格は短期的には東証REIT指数で見れば1,700ポイントを割り込む可能性が高いものと考えられます。J-REIT価格は、外国人の大幅買越しで上昇する前の2016年1月頃の水準に戻ることも視野に入れる必要がある状況です。
なお次回はJ-REIT価格が反発するための条件について記載する予定です。
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
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