マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
軟調な展開が続いていたJ-REIT価格が反発しています。前回連載日(11月24日)の東証REIT指数は1,750ポイントを割り込んでいましたが、12月1日には取引時間中ながらほぼ2ヶ月ぶりに1,800ポイントを超える局面もありました。
さて今回は、前回予告した通りJ-REIT価格反発のための条件について記載していきます。具体的には以下の三点です
1. 国債利回りがボックス圏で推移すること
9月に日銀がイールドカーブ・コントロールを打ち出し、10年国債利回りの目標水準をゼロ%程度としました。その後、0.1%までのマイナス幅は日銀の許容範囲という認識が広がり、その水準近辺で取引となっていました。
一方でプラス圏での許容範囲は不明確な状態でしたが、トランプ氏が次期大統領に決定してから10年国債がプラス圏で推移すると日銀は国債の無制限買入れというかたちで上昇に歯止めをかけています。
現状では国債の利回りはプラス0.05%からマイナス0.1%の範囲内が許容範囲と考えられているようです。このように国債利回りが、狭い範囲で推移する傾向が続けば債券投資の売却益を狙いにくく、一方で長期保有するには利回りが低すぎる状態となります。
この点から国債投資の比重が高い地方の金融機関の中心にJ-REIT投資の拡大が期待できるものと考えられます。
2. 為替相場に円高懸念が生じること
11月は1ヶ月だけでドル円相場が10円も円安となりました。なだらかな円安進行であれば、機関投資家は継続的に米国を中心とした海外投資を行ないやすい状況になったと考えられます。
しかし、11月の円安進行は急速であったため、円高になる懸念もある状態になっています。特に、国内産業の保護策を強く打ち出しているトランプ大統領が容認する為替水準が明確になっていません。今月(12月)中旬には、米国の利上げが実施される可能性が高くなっていますが、さらに円安が進展すれば円高に転じる懸念も高まることになりそうです。
つまり、11月単月で見れば、海外に投資資金が流出しやすい環境でした。しかし、円高懸念が強まることになれば、今後はJ-REITをはじめとする内需関連の投資先が有望となる可能性があります。
3.J-REITの増配基調が続くこと
J-REITの1口当たり分配金(以下、分配金)は、順調に増加しています。例えば9月から11月に決算発表を行った20銘柄の前期比増配率は、中央値で1.2%と僅かですが15銘柄が増配となりました。また11月に決算発表を行ったジャパンリアルエステイト投資法人(証券コード8952)の2017年9月期の予想分配金は8,660円と2016年9月期実績値に対して3.5%(299円)、2017年3月期予想値に対して2.3%(200円)の増配率となっています。ジャパンリアルエステイト投資法人のように安定的な増配基調が続けば、為替相場が円安基調にならない限り投資家のJ-REIT投資は拡大するものと考えられます。
以上記載した三つの条件は、記載した通り実際には11月の段階で最後の三点目を除いて整っています。現状は株式市場に投資家の視点が集まっている状況ですが、二つの条件が揃ったことで冒頭に記載した通りJ-REIT価格が11月中旬から反発した要因となっていることも考えられます。この点にはついては、今後の投資家の売買動向を見て検証していくこととします。
<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介
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