第110回「アジア株式指数とETF」 ETF解体新書

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第110回「アジア株式指数とETF」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。かつてヨーロッパから見てアジアは遠い東という意味で、「極東(far east)」という言葉が用いられました。21世紀のアジアは東の端ではなく、世界経済の中心となる可能性を秘めています。アジア開発銀行(ADB)のレポート「2050年のアジア」では、2050年までにアジアのGDPが世界の半分を占めると予想しています。

「バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF」(2805)は香港市場に上場するアジア株式ETFです(年間経費率は0.20%)。当該ETFは「FTSEアジアパシフィック(除く日本、オーストラリア、ニュージーランド)指数」との連動を目指します。同指数に採用される国・地域は、中国、香港、韓国、台湾、インド、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、パキスタンとなっています。以下『指数ベース』のデータとなりますが、当該指数の構成銘柄は850社。国別組み入れ割合は中国25.98%、韓国17.18%、台湾14.55%、香港14.35%、インド11.74%、シンガポール4.81%、タイ3.70%、マレーシア3.52%、インドネシア2.60%、フィリピン1.49%、パキスタン0.07%となっています(いずれも11月30日現在)。

FTSEは欧米の会社ですが、アジア株式指数を組成するのはアジア企業のほうが理に適っているでしょう。実は日本経済新聞社が「日経アジア300指数」を開発しこの12月から算出を始めています。日本、シンガポールを起点にすれば、インド(ムンバイ)との時差はたったの3時間30分です。日中リアルタイムでアジア各国の株価が変動し、「アジア株式指数」が刻々と動くダイナミズムを実感できます。

「日経アジア300指数」の構成銘柄は324社。国別組入れ比率は、中国26.67%、韓国16.56%、台湾13.95%、インド13.84%、香港11.75%、シンガポール4.88%、タイ4.26%、インドネシア2.99%、マレーシア2.64%、フィリピン2.15%、ベトナム0.32%となっています(11月30日現在)。FTSEの指数はパキスタンが入っているのが特徴。日経のアジア指数にはベトナムが入っています。

実は「日経アジア300指数」のサブ指数として「日経アジア300ASEAN指数」の算出も始まっています。構成国はシンガポール(23社)、インドネシア(25社)、タイ(25社)、マレーシア(22社)、フィリピン(20社)、ベトナム(5社)の6ヵ国です(括弧内は組入れ企業数)。「日経アジア300指数」あるいは「日経アジア300ASEAN指数」との連動を目指すETFが登場すれば、かなりの需要が見込めるのではないでしょうか(未来を見据える日本人にとって「外国株式ETF」の代表格になる可能性があります)。世界の成長センターとしてアジアが広く認識されれば、ETFの設定も自ずと増えてくるでしょう。


コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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