第30回 政権1年目の株価パフォーマンスは?【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

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第30回 政権1年目の株価パフォーマンスは?【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

12月13・14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通り、0.25%の利上げが実施されました。しかし、FRB関係者が示した17年の利上げペースが、市場が予想していた2回ではなく、3回に引き上げられた点はサプライズでした。市場はこれに注目し、この日の米国株は下落し、長期金利は上昇しました。しかし、経済見通しやインフレ見通しはほとんど変更がなく、利上げ見通しとやや整合性が取れない内容となりました。イエレンFRB議長は会見で、トランプ政権の経済政策について話し合ったことを認めましたが、今後は景気対策が金融政策から財政政策に移る中、金利動向及び利上げペースにも注目することになりそうです。ただし、利上げは景気が良いことの裏返しでもあります。利上げが続いているうちは、株高基調が続く可能性が高いと考えておきたいところです。

さて、17年の株式市場の動向が気になる季節になってきました。トランプ・ラリーのおかげで、強気なコメントが増えているように思います。そこで、過去のデータで17年の米国株の傾向について考えてみましょう。来年は新政権の1年目ですが、この年は他の3年に比べてもっともパフォーマンスが悪い傾向があります。1年目は2.5%上昇ですが、2年目は4.2%上昇、3年目は10.2%上昇、4年目は5.8%上昇となっています。また上昇回数が下落回数を下回っているのは1年目だけです。特に共和党政権の場合には、1年目は1.2%の下落となっています。全般的に共和党政権の方が民主党政権よりもパフォーマンスは悪い傾向にあります。ちなみに、両党の1901年以降の騰落率を比較すると、共和党は60年間で年平均6.4%上昇、民主党は56年間で同13.0%上昇とかなり違います。また、四半期ごとの騰落率を見ると、1年目の第1四半期は0.4%の下落になっています。その後は上昇する傾向にありますが、今回はこれまでのトランプ・ラリーによる上昇基調がいったん途切れる可能性に注意が必要といえます。また、17年は末尾に7がつく年になります。このように10年ごとに到来する7がつく年のパフォーマンスは2.5%の下落になっており、これは末尾に0がつく年の5.8%下落についで2番目に悪い数値になっています。この7がつく年は、大幅高の年もあるのですが、大幅安になっている年が多いのが特徴といえます。ただし、直近3年の1987年、1997年、2007年はプラスになっています。しかし、これらの年には、それぞれブラックマンデー、アジア通貨危機、パリバショックが起きています。したがって、来年も10年ぶりの一時的な金融ショック的な動きがみられる可能性があるともいえそうです。

一方、心強いデータもあります。それは今回のような「共和党の大統領、共和党の上下院」の組み合わせです。これらの年の平均騰落率は14.1%の上昇となっており、非常に高いパフォーマンスになっています。過去にこの組み合わせになったのは、ブッシュ(子)政権の1年目の後半と2期目の前半です。この期間は、米国景気が立ち直り、株価が底打ちから反転し、上昇基調を強めた2003年から2006年に相当します。ちなみに、現在は「民主党の大統領、共和党の上下院」ですが、この組み合わせでは16.4%と最も高いパフォーマンスになっています。ここまで過去のデータをご紹介しましたが、今回は過去のような株価動向になるでしょうか。これらのデータを念頭に入れたうえで、今後の米国株の動向を見ていきたいと思います。

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江守 哲

エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役

大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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