第112回 「スマートベータ型ETFとは?」 ETF解体新書

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第112回 「スマートベータ型ETFとは?」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。お客様からしばしば、「スマートベータって何ですか?」と尋ねられます。市場平均との連動を目指すインデックス運用から見ると、スマートベータは「ある種の意思を持ったインデックス運用」と云えます。逆に、アクティブ運用からスマートベータを見ると、「ルール化されたアクティブ運用」と云えるのではないでしょうか。
市場全体を隈なくトレースするという意味合いでは、スマートベータはインデックス運用から外れています。しかし、企業の売上高、配当、利益、あるいは株価の変動幅をもとに、一定の基準で選定した銘柄で「市場平均」を創っているという点では、まさにインデックス運用と云えるのです。実際、米国のETF市場では純資産残高のおよそ2割が「スマートベータ型ETF」となっており、この種のETFの影響力は年々大きくなっています。
まず、スマートベータの原型とも云うべきETFが「高配当株ETF」です。その名の通り配当が多い企業をピックアップしてETFを組成しています。「バンガード 米国高配当株式 ETF」(VYM)、「i シェアーズ 好配当株式 ETF」(DVY)などは米国株のみを対象としますが、新興国の小型株に特化した「ウィズダムツリー 新興国小型株配当ファンド」(DGS)のような高配当株ETFも存在します。

続いて、近年注目を浴びている低ボラティリティ型のETFです。価格変動の度合いが比較的小さい企業をピックアップする低ボラティリティETFは、i シェアーズだけで12本存在します(米国市場上場分)。その中の代表的なものを4本挙げてみましょう。まず「i シェアーズEdge MSCI Min Vol USA ETF」(USMV)と「i シェアーズEdge MSCI Min Vol EAFE ETF」(EFAV)です。USMVはアメリカ株式のみ。当該ETFはセクター別のウェイトに制限があり、ボラティリティが低い特定のセクターに銘柄が集中することを避けています。EFAVは北米を除く先進国株式が対象で、組入れ第5位には日本のNTTが入っています(1月5日現在)。
また「i シェアーズEdge MSCI Min Vol Emerging Markets ETF」(EEMV)は新興国株式、「i シェアーズEdge MSCI Min Vol Global ETF」(ACWV)は全世界(先進国+新興国)の企業が投資対象です。残念ながら上記4本の低ボラティリティETFは、今のところ日本の証券会社では購入できません。
国内上場のETFに目を転じると、日本株に投資を行う低ボラティリティETFが存在します。「上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ」(1399)は高配当かつ低ボラティリティの日本株を組み入れます。もう1本は「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF」(1477)です。リスク(価格変動)の最小化を目指すところから最小分散という名称が付きました。当該ETFの上位組入れ企業はNTT 1.62%、京浜急行 1.57%、NTTドコモ 1.56%、トヨタ自動車 1.54%、田辺三菱製薬 1.52%となっています(%は組入れ比率。1月5日現在)。これらスマートベータ型のETFが伝統的指数との連動を目指すETFと比較して、果たして長期的な超過リターンを獲得できるのか、引き続きウォッチしていきたいと思います。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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