第113回 「分配金から見たETFの合理性」 ETF解体新書

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第113回 「分配金から見たETFの合理性」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。分配金という言葉ほど、誤解とともに広がっている用語はないと思います。まず、分配金はいつ出されるのでしょうか。ETFや投資信託が「決算」を行った結果、出されるのが分配金です。たとえば、あるETFが年に1度分配金を出すとしましょう。これは当該ETFが1年に1度決算を行うためです。逆に毎月分配金を出すETFは、月に1度決算を行っていることになります(分配金が出る時期=決算の時期)。
また、分配金の本質的な意味合いが、投資信託とETFでは異なります。投資信託の場合、利益から分配金が出る場合もあれば、元本を取り崩して分配金とするケースもあるのです。翻ってETFでは、運用収益からのみ分配金を出します。投資信託では、利益の中から出す分配金のことを「普通分配金」と呼びます。元本部分を取り崩して出される分配金は「元本払戻金」と呼ばれます。一方、ETFにおける分配金の原資は、ETFが投資している株式、債券などの資産から生じる配当や受取利息などです。よってETFの分配金は「普通分配金」のみです(「普通分配金」が払い出される際、20.315%が課税されます)。
ETFは運用収益からのみ分配金を出すため、毎期の分配金の額は違ってきます。投資信託の分配金に慣れている人はこの点戸惑われるかもしれませんが、毎期の分配金が異なるのが自然な姿なのです。

国内上場ETFを扱う「ETF株マップ.com」(外部サイトへ遷移します)というサイト内に、分配金利回りのランキングが載っています。1位から5位は以下のようになっています(1月20日現在。%は分配金利回り)。


1位 上場インデックスファンド新興国債券(1566)5.93%

2位 NEXT FUNDS 商社・卸売ETF(1629)3.85%

3位 TOPIX Core 30 ETF(1311)3.55%

4位 上場インデックスファンド豪州リート(1555)3.48%

5位 NEXT FUNDS 自動車・輸送機ETF(1622)3.42%


毎月分配型ファンドに比べ、総じて分配金利回りが低いですが、運用収益からのみ払い出すためある意味当然といえます。ただし、投資信託の分配金にも褒められる点があります。それは分配金自動再投資のしくみです(無手数料で自動的に分配金の再投資をしてくれます)。日本ではETFの分配金は払い出しのみになっていますが、米国の一部の証券会社では、ETFの分配金、個別株の配当を無手数料で自動的に再投資するしくみがあります。それがDRIPです。DRIPとは、「Dividend Re Investment Plan」の略であり、配当(分配金)再投資制度のことです。ETFは合理的な分配金のしくみを有していますから、ぜひ「分配金を受け取る」、「分配金を自動再投資(DRIP)する」という選択肢を設けてもらいたいものです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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