第34回 米国株を中心に粛々と投資を継続する【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第34回 米国株を中心に粛々と投資を継続する【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

米国の新大統領に就任したトランプ氏の言動が、毎日のようにメディアを賑わしています。トランプ氏の口から飛び出す発言が、あまりに独善的であり、それが市場心理を不安にさせているといえます。最初は選挙対策かと思われた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の離脱や、難民の入国拒否などの選挙期間中の公約が次々に実行に移されており、そのスピードたるや、想像をはるかに超えているといえます。「有言実行」と言えば聞こえはよいですが、一方で反発を招いていることも事実でしょう。ただし、支持者が多いことも事実です。これが米国の多様性ともいえます。すべての人がトランプ氏の言動に反対しているわけではないということです。この点にも注意が必要かと思います。

トランプ氏の発言やその行動の素早さからわかることは、トランプ氏は自身が考える政策について本気であり、自身の考えとポリシーに基づいて、結果が出るまで自説を押し通し、やり続けるということです。トランプ氏自身の著作を読むと、トランプ氏は現在の米国の凋落の原因はオバマ政権の愚行にあり、さらに中国や産油国などに米国が利益をむしり取られたと認識しているようです。また、日本へも批判の目が向いています。トランプ氏が現在のような考え方になったのは、実はかなり前からです。トランプ氏の認識や理解がすべて正しいとは思えませんが、「米国第一」のスタンスでいる以上、現在の言動は、表現方法にかなり問題があるとは思いますが、ある意味では当然といえるのかもしれません。また、トランプ氏はレーガン元大統領を称賛・尊敬していることを隠さず、ことあるごとにレーガン政権の政策を持ち出しています。現在と当時では、経済環境や時代背景が全く違うのですが、おそらくそのような点については言及しないでしょう。いずれにしても、このような人物が世界最大の経済大国のトップに就任したわけです。今後のトランプ氏の言動や政策から目が離せないことだけは確かです。

さて、このような状況ではありますが、投資家としてはあまり悲観的にならないようにしたいところです。目先のトランプ氏の発言に振り回されるのではなく、粛々と自身の投資を続けるのが賢明でしょう。また、急落した時に買えるように、現金を用意しておくことも重要です。そのうえで、急落に耐えられる程度に資産を積み上げるのが良いでしょう。市場に入っていないと、感覚がわからなくなりますので、少しずつでも投資は継続すべきと考えます。その結果、含み損が発生したとしても、それは一時的な必要コストと考えればよいわけです。長期的には米国株は上昇基調を維持すると考えています。資産運用の軸を米国株におきながら、粛々と買っていくのがよいでしょう。昨年のブレグジットや米大統領選の際にも、結果的にこのような考え方に基づいて投資を継続していれば、安値をたっぷりと買うことができたと思います。おそらく、今年もそのような場面が来るでしょう。そのときに備えつつ、リスクがあると感じるのであれば、分散投資を検討するのも一考です。ちなみに、米国株、日本株、米国債、日本国債、ドル、金の主要資産に投資する場合、別表のような比率が良いと考えられます。一つの考え方として参考にしていただけると幸いです。ちなみに、金は10%前後の範囲で保有するのが良いと考えています。

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江守 哲

エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役

大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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