第114回 「ヨーロッパ株式ETFを概観する」 ETF解体新書

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第114回 「ヨーロッパ株式ETFを概観する」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。ここ数年、ヨーロッパ各国はデフレ圧力に晒されてきました。しかし、先月(1月)のユーロ圏「消費者物価指数」は原油価格の持ち直しなどもあり前年同月比1.8%上昇しています(これはほぼ4年ぶりのことです)。また、2月3日現在、ドイツ国債10年物の利回りはプラス0.4%まで上昇しています(価格は下落)。インフレへの期待が少しずつ醸成されているのかもしれません。この基調が続けば、欧州中央銀行(ECB)が非伝統的な金融政策を終わらせる道筋も見えてきます。

欧州株式ETFにはいくつかの選択肢があります。まず、「バンガード FTSE ヨーロッパETF」(VGK)は2005年に米国市場に上場。FTSE欧州先進国オールキャップ・インデックスとの連動を目指します。純資産総額は150億USドル超と潤沢です。年間経費率は年0.12%となっています。
「i シェアーズ コア MSCI Europe ETF」(IEUR)※(当社では取扱いなし) は2014年の設定。年間経費率は年0.10%と低廉ですが、純資産総額は10億USドル程度でまだ発展途上です。IEURはMSCIヨーロッパ インベスタブルマーケットインデックスとの連動を目指します。そして、運用開始が2000年ともっとも古い「iシェアーズ ヨーロッパ ETF」(IEV)です。当該ETFはS&Pヨーロッパ350インデックスとの連動を目指します。年間経費率は年0.60%と少し高めです。

国内上場ETFに目を転じると、「UBS ETF ユーロ圏大型株50」(1385)があります。
当該ETFの運用会社はUBSファンド・マネジメント(ルクセンブルク)エス・エイです。連動を目指す指数は「ユーロ・ストックス50インデックス」。当該指数は欧州の中でもっとも有名な株価指数のひとつです。ユーロ圏大型株と謳っている通り、当該ETFの組み入れにはイギリス、スイスは含まれていません。ヨーロッパ12ヵ国の株式50社を厳選しています。上位組入れ10社を挙げてみましょう(指数ベース)。1.トタル フランスの石油エネルギー企業 2.シーメンス ドイツの総合メーカー 3.サノフィ フランスの製薬会社 4.バイエル ドイツの化学、製薬企業 5.SAP ドイツのソフトウェア会社 6.BASF ドイツの化学メーカー 7.バンコ・サンタンデール スペインの銀行 8.アリアンツ ドイツの保険会社 9.アンハイザー・ブッシュ・インベブ ベルギーのビール会社 10.BNPパリバ フランスの金融グループとなっています(ドイツとフランスの会社が多いですね)。

続いて、「UBS ETF 欧州株(MSCIヨーロッパ)」(1386)です。当該ETFは「MSCIヨーロッパ・インデックス」との連動を目指します。年間経費率は年0.20%です。なお、1385、1386は、欧州の複数の市場で上場するETFをJDR形式(外国ETFを信託財産とする受益証券)で国内にも上場させたものです。最後に、欧州では今年政治的なイベントが続きます。3月のオランダの議会選挙、5月のフランス大統領選、9月にはドイツで総選挙が行われます。政治の動揺が起こると、マーケットに悪影響を与えかねません。この点注視が必要でしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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