第117回「ダイバーシティ(多様性)がキーワードのETF」 ETF解体新書

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第117回「ダイバーシティ(多様性)がキーワードのETF」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。ニューヨーク証券取引所のすぐ近くに、有名な牛の銅像があります。「チャージングブル」という名の牛と向き合うように、今月「恐れを知らぬ少女」の像が設置されました。
CNNが複数の写真を掲載しています。
http://edition.cnn.com/2017/03/09/us/gallery/fearless-girl-wall-street/この像を設置したのはETFの運用会社SSGA(ステート・ストリート・グローバルアドバイザーズ)です。銅像が設置された理由はふたつ。ひとつは3月8日の「国際女性デー」にちなんで。もうひとつはSSGAが運用を開始したETFの1周年を記念してのことです。
1年前の3月7日、「スパイダーSSGA Gender Diversity Index ETF」(SHE:※当社非取扱い)がローンチしました。当該ETFは、アメリカの大型株約1,000社をユニバースに、CEOもしくは取締役の中に女性がいる(=ジェンダーの多様性が試されている)企業をピックアップし運用を行っています。同ETFの組入れ企業は186社。年間経費率は0.20%です。
上位組入れ10社は以下のようになっています。1.ファイザー 2.ペプシコ 3.アムジェン 4.3M 5.マスターカード 6.USバンコープ 7.CVS ヘルスコーポレーション 8.UPS 9.スターバックス 10.テキサス・インスツルメンツ(12月31日現在)。
実は、S&P500指数に採用されている企業のうち、女性が最高経営責任者(CEO)になっている会社はわずか4%程度です。また、女性の取締役の割合は約19%に過ぎません。欧州諸国に比べてアメリカの大企業は、女性が柔軟に経営に参画する状況にはなっていないのです。

続いて、「Workplace Equality Portfolio ETF」(EQLT:※当社非取扱い)をご紹介しましょう。Workplace Equalityとは文字通り、『職場における平等性』のこと。これは誰を想定しているかというと、LGBTの人たちです。すなわち、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル(両性愛者)、そして、性同一性障害を含む性別越境者などのトランスジェンダーの人たちを指します。「ワークプレイスイークワリティ指数」とは、LGBTの人たちの職場における平等を掲げる企業で構成される指数のこと。
当該ETFは同指数との連動を目指します。職場においてLGBTの人たちが自然に働ける環境は、まさに人財の多様性(ダイバーシティ)が守られる環境を指します。3月17日現在、同ETFに組み入れられる企業は251社で、業種では一般消費財、金融などの割合が高くなっています。当ETFの特徴として、各企業の組み入れ比率を『均等』にしている点が挙げられます。組み入れ割合が均等であれば、結果として時価総額が小さな中小型株をオーバーウェイトすることになります。
企業が『人財の多様性』を掲げるのは、慈善の精神からではないとわたしは考えます。
株式会社が相手にするのは「背景が異なる、多様性を有した社会」そのものであり、バックグラウンドが異なる人財を幅広く受け入れたほうが、長期的に企業の利益に貢献するのです。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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