第39回 米国株は4月が最も上昇する【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

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第39回 米国株は4月が最も上昇する【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

米国株は動きづらい展開が続いています。トランプ政権の政策実行力への不安が依然として上値を抑えているようです。さらに、5日に発表された3月14・15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、大半の参加者が米連邦準備制度理事会(FRB)の保有資産を年内に圧縮し始めるのが適切と判断していたことや、年内あと2回と想定した利上げについても、物価が急上昇したりすればペースを速める用意があると強調していたことが判明し、これが嫌気されたとの見方があります。3月会合では3カ月ぶりに利上げを決定しましたが、その裏では、米国債などを購入し、市場に資金を供給する量的緩和で4兆4,000億ドル超に膨らんだ保有資産について、圧縮方法の具体的な検討が開始されていたわけです。FRBは資産縮小について、「市場の混乱を回避するため、経済情勢に応じて緩やかに、予見可能な方法で行う」としています。さらに、満期を迎えた米国債と住宅ローン担保証券(MBS)双方の再投資を停止する形で、消極的に縮小していくのが妥当としています。市場を驚かせるような方法での資産圧縮は想定しづらいことから、今の時点で懸念する必要はないでしょう。

利上げについては「緩やかに進める」との考えでおおむね一致していましたが、同時に「消費や企業投資の拡大、より拡張的な財政政策、想定以上の物価上昇などが生じれば、ペースを変える必要がある」との声もあったようです。一方、雇用については、参加者のほぼ全員が「最大化に近い」と判断しましたが、「インフレ率は目標に達していない」との見方と、「目標に既に達したか年内に達する」との見方に分かれました。しかし、投票権のある参加者からは「依然として目標を下回っている」との意見が多く、利上げはかなりゆっくりとしたペースになりそうです。おそらく、6月のFOMCでの利上げはないでしょう。一方、トランプ政権の政策については「不確実性が大きい」とし、「財政政策は景気への上振れリスクになるが、移民や通商政策は下振れリスクになる」としており、FRB関係者も不安視しているようです。これ以外に、北朝鮮情勢やシリア情勢、フランス大統領選など、不透明要因が多くありますが、これらは株価を動かす本質的な要因ではないため、市場への影響は限定的と考えています。

株価は当初は心理で動きますが、最終的に企業業績に収れんします。来週から始まる米国企業の第1四半期決算に注目しておきたいと思います。第1四半期の業績は10%前後の増益が予想されています。一方、S&P500採用企業の今後4四半期(17年第1四半期~第4四半期)の予想PERは18.1倍となっており、割高感が指摘されています。しかし、最終的には企業業績が株価に追いつく動きになるのではないかと考えています。一方、4月という季節は堅調に推移しやすい傾向があります。1950年以降のデータを見ると、4月の上昇確率は67%、月次の平均リターンも1.9%と、12カ月の中で最も高くなっています。もちろん、過去にはそのようになっていない年も少なくないため、今年は必ず上昇するというわけではありません。データはあくまで過去の実績ではありますが、投資判断する上での重要かつ客観的な指針であることに変わりありません。感覚的な判断を避けるためには、このような過去の客観データはきわめて重要ですので、ぜひ利用したいところです。

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江守 哲

エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役

大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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