第120回「もっとメジャーになってよい新興国小型株ETF」 ETF解体新書

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第120回「もっとメジャーになってよい新興国小型株ETF」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。世界最大級のコンサルティング会社PwCが、「2050年のGDPランキング予想」を発表しています。購買力平価 (PPP) ベースで見た、以下GDPランキング予想(2050年)です。
1位 中国(1位)、2位 インド(3位)、3位 アメリカ(2位)、4位 インドネシア(8位)、5位 ブラジル(7位)、6位 ロシア(6位)、7位 メキシコ(11位)となっています(括弧内は2016年のランキング)。また、PwCは2040年には、E7(中国、インド、インドネシア、ブラジル、ロシア、メキシコ、トルコ)の経済規模が、G7(先進7ヵ国)の2倍程度になると予想しています。超長期で見れば、世界経済の主役が新興国に移行する可能性は極めて高いといえるでしょう。
その新興国群の小型株に投資を行うのが、「i シェアーズ MSCI エマージング・マーケット小型株ETF」(EEMS)です。当該ETFは2011年に米国市場に上場。新興国23ヵ国の1,018社の小型株式を組み入れています(5月4日現在)。
経済成長が進むにつれ、新興国各国では「大型株」から「中小型株」に国内経済の貢献度がシフトしています。また、新興国の「大型株」はグローバル展開する企業が多いのに対して、「小型株」は内需型の企業が多いのが特徴です(従って、小型株の株価形成はより国内経済の情勢を反映していると云えるでしょう)。

当該ETFが連動を目指す「MSCI エマージング・マーケット小型株インデックス」は、
新興国各国の、浮動株調整時価総額の下位およそ14%をカバーするよう設計されています。
「小型株」の注意点としては、大型株に比べ価格変動リスクが大きくなること、信用リスクが高くなることが挙げられます。ただし、当ETFは1,000を超える企業を内包するため、純資産に対する各銘柄の比率は組入れ第1位でも1%以下となっており、銘柄分散が徹底しています。
続いて、業種別の比率を見てみましょう。素材10.68%、資本財10.36%、 不動産8.79%、テクノロジーハードウェア・機器7.65%、耐久消費財・アパレル4.94%、半導体・半導体製造装置4.92%となっています。大型株は金融、エネルギー資源などの割合が高いのが特徴ですが(そもそも巨額の資本を必要とするため)、小型株では、資本財、不動産など内需関連の比率が高くなっています。
5月4日現在の国別組み入れ比率は、台湾17.57%、韓国16.70%、中国15.09%、 インド13.85%、香港6.09%、南アフリカ5.15%、ブラジル4.61%、タイ3.53%、マレーシア3.30%、メキシコ2.78%、インドネシア2.30%となっています。
最後に、「MSCI エマージング・マーケット小型株インデックス」は小型株指数ですが、大型株、中型株を網羅する「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」は1988年に算出を開始しています。1988年当時の同インデックスの国別組み入れ比率は、マレーシア29.5%、ブラジル25.5%、メキシコ10.0%、タイ 9.9%、チリ7.8%でした。新興国の内訳がずいぶん変化していることが分かりますね。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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