第126回「米国ETF業界のビッグ3とは?」 ETF解体新書

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第126回「米国ETF業界のビッグ3とは?」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。米国ではじめてETFが上場してから24年が経過しています。その間、実にさまざまな運用会社が登場しましたが、3大運用会社、いわゆる「ビッグ3」の地位は不動です。その3社とは、ブラックロック(iシェアーズ)、バンガード、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)です。アメリカETF市場の純資産残高は3兆ドル余りですが、ビッグ3のシェアは8割を超えます。その内訳を見てみますと、ブラックロック約40%、バンガード約25%、SSGA約18%となっています(7月31日現在)。三者三様の特徴について見ていきましょう。

まずはステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)です。同社はまさにETFの歴史を作った張本人です。米国初のETF「SPDR S&P500 ETF」(SPY)は、いまだに全ETFの中で純資産額第1位を誇っています(同じ指数との連動を目指す「iShares Core S&P 500 ETF」(IVV)のおよそ2倍の純資産規模があります)。SSGAのビジネスの特徴は「先行者利益」です。SPYをはじめ、セクターETFとして名高い「Select Sector SPDRs」(1998年上場)、金価格との連動を目指す「SPDR Gold Shares(GLD)」(2004年上場)とも、同じカテゴリー内で「最初に」上場を果たしました。先行して投資家の注目を集めることで資金が流入し、流動性が増すことでさらに資金を惹きつけるという「好循環」を生んだのです。

続いてバンガードです。同社はインデックスファンドのパイオニアですが、ETFへの参入は意外と遅く、2001年「Vanguard Total Stock Market ETF」(VTI)を通じてでした。バンガードETFの特徴は広範な分散にあります。同社は広く分散を施したETFにこだわり、ニッチ型の投資対象には見向きもしません。そしてローコストにこだわっています。バンガードETFの平均経費率は年0.11%であり、これはSSGAの年0.31%、ブラックロックの0.36%と比べても圧倒的に低いです。同社はおよそ70のETFを運用しますが、そのうち55本は純資産額が10億ドルを超えており、これまで上場廃止となったETFは1本もありません(まさに少数精鋭なのです)。

最後にブラックロックです。「iシェアーズ」のブランド名で知られます。最大の特徴は品揃えの多様さでしょう。340本余りのETFを運用しますが、国別株式、テーマ型、スマートベータ型、為替ヘッジ型、ニッチな業種別ETFなど、多種多様なETFを揃えています(その代わり、これまで上場廃止となったETFも60本以上と多い)。ここでは債券ETFに注目しましょう。iシェアーズは他社に先駆けて2002年、「iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF」(LQD)、「iShares 7-10 Year Treasury Bond ETF」(IEF)などの債券ETFを市場に投入しました。前述のSSGAと同じように、今でも「先行者利益」を享受しています。ブラックロック、バンガード、SSGAが長年にわたり競争を続けてきた結果、ETFマーケットは驚くほど多様になり、投資家は継続コストの低下というメリットを受けています。今後もますますこの「ビッグ3」から目が離せません。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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