第124回 個人投資家のJ-REIT買越し要因について【J-REIT投資の考え方】

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第124回 個人投資家のJ-REIT買越し要因について【J-REIT投資の考え方】

J-REIT価格は安定的な動きを続けています。東証REIT指数は、7月の乱高下を経て8月は1,700ポイントを挟んだ展開で推移しています。9月は金融機関や機関投資家にとって中間決算にあたる時期になりますので、価格の乱高下に注意が必要となりそうです。

さて今回は、下落傾向を続けていたJ-REIT価格が反発した7月の投資部門別売買のうち、個人投資家の動向について記載していきます。7月の個人投資家の売買動向は買越額が5,000万円を超える程度でしたが、2011年11月以来の買越しとなりました。
個人投資家が買越しに転じた要因として、個人投資家比率が高いという特色がある利回りの高い銘柄の価格が順調に推移していることから、利回りの高さに個人投資家が注目しているためと考えられます。例えば、昨日(8月23日)時点で予想分配金利回りが5.18%と高い6月と12月が決算月の日本リート投資法人(証券コード3296)の個人投資家比率は2016年12月末時点の32.37%から2017年6月末時点で37.77%まで拡大しています。
ただし、「7月」に買越しに転じた最大の要因は、増資や新規上場の動きが無かったことが大きいと考えられます。増資の動きを見ると、1月から3月までは毎月3銘柄が増資を公表していましたが、4月、5月と7月は1銘柄だけとなりました。新規上場は2月の森トラスト・ホテルリート投資法人(証券コード3478)だけでした。7月に増資を公表した日本プロロジスリート投資法人(証券コード3283)の払込みは8月7日となっていますので、資金の動きとしては8月に影響が及ぶものと言えます。つまり7月売買動向は、増資や新規上場の影響を受けないJ-REIT市場では珍しい月となっていたのです。
投資部門別売買動向では、増資や新規上場時に個人投資家に割当てされた金額は、「買い」として統計することができません。例えば、増資時に個人投資家が100億円を購入し105億円で売却した場合には、増資時は証券会社から直接個人投資家に割当てされるため、東証では購入の統計が取れず、105億円の売却は証券会社間の取引となり、東証の委託取引として統計値にカウントされるかたちになります。
利回りの高い銘柄の価格は、本連載6月8日(※1)でも記載した通り昨年末から5月末の時点で順調に推移していました。一方で個人投資家は、1月から6月まで売越しを続けていました。また個人投資家の総売買金額も図表の通り、7月に増加した訳ではなく森トラスト・ホテルリート投資法人(証券コード3478)の上場や増資が多かった1月から3月までの金額の方が多くなっています。
前述した日本リート投資法人の個人投資家比率の動向も踏まえて考えると、個人投資家が利回りの高い銘柄に注目していることは明らかです。ただし、7月の売買動向は増資や新規上場の影響を受けなかったという特殊要因が影響しているため、個人投資家が本格的に買い主体へ変化するかは、今後の動向を注視すべきだと考えられます。

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コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>

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