第132回「市場の急変時に利用する2つのETF」 ETF解体新書

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第132回「市場の急変時に利用する2つのETF」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。「VIX指数」は別名、「恐怖指数」とも呼ばれます。VIX指数は、投資家が予想する今後の株価変動の大きさを指数化したものと云えるでしょう。端的に言って、株価が安定的に推移するときVIX指数は低くなります。逆に、株価が大きく上下するとVIX指数は高くなります。たとえば、2008年のリーマンショック時にはVIX指数が70ポイントを超えました。そして今年の5月、VIX指数は1993年以来の低水準である9.77ポイントを付けています。相場転換点の目安になるとも言われるVIX指数ですが、そのVIX指数の「先物」に投資した場合のリターンを指数化したものが「VIX短期先物指数」です。この「VIX短期先物指数」との連動を目指すETFがあります。それが「VIX短期先物指数ETF」(1552)です。設定は2010年、運用会社は三菱UFJ国際投信です。
当該ETFは、「米国S&P500 VIX短期先物指数」(円換算値)との連動を目指します(つまり、影響を受けるのはアメリカ株式市場の動向なのです)。現在、純資産額は170億円余り。この種のETFでは、先物特有の限月間の価格差が「指数値」に影響を及ぼす点に注意が必要です。株価が安定的でVIX指数が低い期間が続くと、VIX短期先物指数は大きく下落することになります(コンタンゴの影響で保有し続けると次第に「減価する」傾向にあるのです)。実際、当該ETFの価格はこの6年間で20分の1以下になっています。保険代わりに「長く持つ」という考えは誤りであり、あくまで短期トレードのための道具と割り切りましょう。三菱UFJ国際投信のサイトでも、次のように謳っています。
・当ファンドは、短期的な投資に活用いただくことが望ましいと考えられます。・当ファンドは、中長期的な投資(バイ・アンド・ホールド)には向きません。
続いてご紹介するのは「日経平均VI先物指数 ETN」(2035)です。先ほどの1552はS&P500 VIX短期先物指数を対象とするため、為替の影響を受けることになります。一方、当該ETNは日経平均VI(ボラティリティ・インデックス)先物指数との連動を目指します。日経平均株価の動向に影響を受けるため、直感的な値動きは分かりやすいでしょう。なお、当該指数は、日経平均VI指数の「先物」に投資した場合のリターンを指数化したものです。2035はETNであるため、指数との連動を約した債券に投資を行うことになります。そのため、発行者の信用リスクを負います(指数連動証券の発行者はノムラ・ヨーロッパ・ファイナンス・エヌ・ブイです)。当該ETNは2013年に上場し、売買単位は1口単位。あらかじめ満期が決まっており2033年になります。午前に急騰したあと急落し、値幅860円の乱高下を演じた11月9日には、「日経平均VI先物指数 ETN」の出来高が約23,000口に急増しました。今日ご紹介したETF、ETNは、相場の急変を捉えて、売買のタイミングを把握することが必要な金融商品といえるでしょう。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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