第1回 低金利だからこそ、創意工夫が必要になる 【特集】20代、30代で必ず考えるべきお金のこと

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第1回 低金利だからこそ、創意工夫が必要になる 【特集】20代、30代で必ず考えるべきお金のこと

「4.5%」。皆さんはこの金利が何だかわかりますか。オーストラリアの政策金利!と答えた方は、かなりの経済通、あるいは外貨投資をかなりやられている方だと思われます。オーストラリアの政策金利も正解と言えなくもないのですが、正解は筆者が社会人になった1986年4月の1年物の定期預金の金利です。足元のメガバンクの定期預金金利0.025%の180倍の高金利ですから、お金の運用に困らなかったと言っても過言ではありません。

なぜなら、4.5%の金利で運用できたならば、16年間でお金を倍にすることができるのですから。しかしながら、4.5%で驚いてはいけません。その後、金利は上昇していき、1990年10月に発行された長期国債(10年物)の表面利率は7.9%もあったのです。当時、筆者はFP(ファイナンシャル・プランナー)の仕事を始めており、同僚らと表面利率が8.0%を超えたら長期国債を購入しようと計画をしていたのを記憶しています。当時「ゴールデンエイト」と呼ばれる運用の世界の格言があり、「表面利率8.0%以上の国債を購入すれば損をすることはない!購入後、金利が低下すれば二桁の収益も期待できる!」と言われていたからです。結果は、7.9%の表面利率がピークだったために、長期国債を購入しそびれたという苦い経験をしてしまいました。

なぜ、私が20代の頃の金利の話をしたのかと言えば、残念ながら今、20代・30代の皆さんが、筆者が経験した高金利を得られる可能性は非常に低いと言わざるを得ないからです。低金利、否、超低金利という言葉すら恒常的に使われていますが、筆者は足元のような低金利が始まったのは1996年9月からと述べています。何が起こったのかと言えば、わが国の政策金利が戦後初めて1.0%を下回り、それが既に15年間も続いているのです。

皆さんは、景気か良くなると金利が上がるということを学校などで習ったと思いますが、リーマンショックが起こる前までは、わが国の景気拡張期間は戦後最長を記録していたのです。その間わが国の政策金利は、ゼロ金利政策の解除を含めて、3回しか引き上げられることはなかったのです。皆さんが学習した景気が良くなると金利が上がるには上がったのですが、その幅はわずか0.5%に過ぎなかったのです。

市場実勢を反映する、長期金利すら史上最低金利からの上昇幅は1.6%程度に過ぎなかったのです。皆さんが、お金を運用して豊かな生活を過ごすための一助にしたいと思うならば、預貯金などの安全確実な運用だけでは、お金を増やすことにも限界があるのです。筆者はFP業界に入って23年目になりますが、低金利だから何もしないというのは間違いで、低金利だからこそ「創意工夫」が必要だと述べるようにしています。何もしなくていいのは、筆者がFPになりたての頃の高金利局面。高金利局面であれば、資金運用の答えは1つに集約されやすく「預入期間の長い固定金利商品を利用する」。これさえ守れば、だれもが「果報は寝て待て」でお金を増やすことができたのです。しかし、高金利は既に幻想に過ぎず、低金利だからこそしっかりお金の運用を行った人と、やらない人の差が出るようになってしまったのです。(次回に続く)

コラム執筆:深野 康彦
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士) 1962年埼玉県生まれ。

大学卒業後、クレジット会社を経て1989年4月に独立系FP会社に入社。以後、金融資産運用設計を中心としたFP業務を研鑚。

1996年1月に独立し、現在のファイナンシャルリサーチ(2006年1月設立)は2社目の起業。FP業界暦23年目のベテランFPの1人。各種新聞、マネー誌や経済誌、各種メールマガジンなどへの執筆や取材協力、テレビ・ラジオ番組などの出演を通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。

著書に『これから生きていくために必要なお金の話を一緒にしよう!』(ダイヤモンド社)

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