第3回 20代、30代の強みは時間があること 【特集】「20代、30代で必ず考えるべきお金のこと」

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第3回 20代、30代の強みは時間があること 【特集】「20代、30代で必ず考えるべきお金のこと」

金融商品の豊富さ、低金利の長期化が予測されるからこそ、創意工夫のしがいがあると述べましたが、20代、30代の皆さんには、さらに「時間」という強い見方があることを忘れてはなりません。たとえば、老後資金の準備を考えてみましょう。年金支給開始年齢の引き上げ案が厚生労働省の審議会で示されましたが、現行の公的年金制度は65歳から年金を受給できることになっています。仮に支給開始年齢が68歳に引き上げられても、考え方は変わりませんので、65歳を基準として話を進めさせていただきます。

公的年金を受給できる65歳を老後資金を準備するための目安と考えれば、筆者は現在49歳なので準備期間は16年です。筆者は寅年生まれなので、干支が一回り違う37歳の人は28年、二回り違う25歳の人は40年間の準備期間、言い換えれば時間があるということです。65歳までに2000万円準備しようと思えば、筆者は10万4170円、37歳の人は5万9530円、25歳の人は4万1670円を毎月積み立てればよいことになります(運用益0%の場合)。運用益が1%になれば、筆者は9万6000円、37歳の人は5万1600円、25歳の人は3万3円と毎月の積立額は減少することになります。運用益が2%、3%と高くなればなるほど、毎月の積立額は減少することになりますが、高い運用益を確保するためには、それなりのリスクを採る必要があります。さらに、高い運用益を20年、30年にわたり確保し続けられるかという疑問も残るため、シミュレーションをする場合は、運用益などの不確定な数値は固めにするのが賢明になるのです。

ただし、運用益を長期間で高めに見積もることができる局面が、日本にもあったのです。第1回目のコラムで、筆者が社会人になったときの1年物定期預金利の金利4.5%のような高金利局面では、長期の固定金利商品を利用すれば、だれでも当初のプランを守って積立などの運用をしていくことで、実質4~5%程度の運用益を確保することもできたのです。

残念ながら、日本における高金利は遠い昔の幻想になりつつあり、当面、預金金利で1%すら望むのが難しい状況です。であれば、多少はリスクを取ってでも投資という世界に第一歩を踏み出さない限りは、資産を増やして豊かな生活を送るのは難しいと言わざるを得ません。何も難しい、あるいは大きなリスクを採った投資を行う必要はないのです。第一歩をなかなか踏み出すことができないならば、毎月1万円(1000円から可能)でいいですから、投資信託の積立を始めてみてはいかかでしょうか。20代、30代であれば、運用益をプラスにする時間がたくさんあるはずです。

また、仮に運用で失敗したとしても、本業の収入でリカバリーする時間もたくさんあることを忘れてはなりません。まとまったお金がなければ投資できないのも過去の出来事です。投資の勉強をするのも大切ですが「習うより慣れろ」。実践に勝るものはないと筆者は考えています。投資環境は依然厳しいのは事実ですが、成功を収めた投資家は、意外と投資環境が厳しいときに船出をしているのです。無理せず身の丈にあった金額から、投資を始めようではありませんか。

コラム執筆:深野 康彦
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士) 1962年埼玉県生まれ。

大学卒業後、クレジット会社を経て1989年4月に独立系FP会社に入社。以後、金融資産運用設計を中心としたFP業務を研鑚。

1996年1月に独立し、現在のファイナンシャルリサーチ(2006年1月設立)は2社目の起業。FP業界暦23年目のベテランFPの1人。各種新聞、マネー誌や経済誌、各種メールマガジンなどへの執筆や取材協力、テレビ・ラジオ番組などの出演を通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。

著書に『これから生きていくために必要なお金の話を一緒にしよう!』(ダイヤモンド社)

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