マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今から31年前、1980年のゆうちょ銀行(旧郵便局)が取り扱う定額貯金の預入期間3年以上の適用利率は8.0%。10年間運用資金を寝かせておけば、だれもが運用資金を2倍にすることができました。「果報は寝て待て」でよかったのです。ところが、21世紀に入ってからの確定利付き商品の金利は、せいぜい2.0%が関の山。足元の低金利が続いたとすれば、待てど暮らせど、果報がやってくることはありません。
とすれば、資金を倍増させるためには、投資資金の一部に元本は保証されていないけれども、高い収益が期待できる投資型商品を入れていく必要が出てくるわけです。株式、外貨建て商品、投資信託等々、投資型商品にはさまざまなタイプがあります。また、商品によっては、1回あたりの取引にかなりまとまった金額が必要となる場合もあります。その点、投資信託は前回ご紹介した通り、毎月1万円から(取引する証券会社や種類によっては1,000円から積立てることができるというメリットもあります。
投資信託協会の平成23年10月の投資信託概況によれば、追加型株式投資信託のファンド数は3514本。3514本の中から私たち投資家が求める投資信託を捜すのは、至難の業と言えるかもしれませんが、筆者は投資信託は自分自身で投資することができない投資対象をカバーするためのツールと考えています。
たとえば、国内株式。外国株式や国内外の債券などと比較すれば、自分自身で個別銘柄を選んで投資することが実行しやすいはずです。自分自身で直接投資することができるならば、何も投資信託を活用する必要はないと思われます。直接投資を行った方が、投資コストを抑えることができるからです。
しかしながら、高い成長が見込める新興国株、あるいは国内株であっても新興市場の株式まで自分自身で投資することができるでしょうか。やや、話がそれますが筆者自身の体験を話させていただくと、2003~2004年頃、北京オリンピック開催に合わせて、中国が高成長を続ける(=中国株の上昇)というシナリオを自分で描き、中国の個別株投資を思い立ちました。中国株投資のセミナーを聴講しに行き、口座開設書類まで手に入れ、中国株の個別株ガイドブックまで手に入れたのですが、結局個別株投資はできませんでした。幸いなことに本業が忙しく、自分の資産運用、中でも中国株投資までは手が回らなかったのです。
ですが、上昇する中国株を指を加えて見ていたのかと言えば、あるとき、個別株に割く時間が作れないならば、投資信託を活用すればいいと閃いた(遅いと言われそうですが)のです。閃きを実行に移し、中国株上昇の恩恵を投資信託を活用して受けることができたのです。それ以降、「投資信託」は自分自身ができないことを実現するためのツールと考え、より積極的に投資信託を活用するようになったのです。投資信託を活用するようになり、投資できる対象などが毎年拡がっているため、資産運用にストレスを感じる機会が減ったように思えてなりません。
話を元に戻せば、要は筆者が実行しているように、自分で投資できること、投資信託に任せることを仕訳することが投資信託を上手に活用する鍵と思えるのです。もちろん、いずれの投資先も自分自身で個別株などを選ぶことができないならば、全ての投資先を投資信託でカバーすることも有りだと筆者は思うのです。もっとも、投資信託を活用すれば、直接投資よりも投資コストが高めになります。しかし、投資コストが高めになるのは自分自身でできないことを行ってもらう。あるいは投資信託に任せることで、手間隙かかる資産運用から開放される等々、時間を買うためのコストと認識することで、さまざまな投資対象を別け隔てなく比較対象したうえで投資信託を活用することができるからです。
次回からは、インターネット証券4社共同プログラムである資産倍増プロジェクトに採用されている個別ファンドのいくつかを見ていくことにしましょう。
コラム執筆:深野 康彦
ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士) 1962年埼玉県生まれ。
大学卒業後、クレジット会社を経て1989年4月に独立系FP会社に入社。以後、金融資産運用設計を中心としたFP業務を研鑚。
1996年1月に独立し、現在のファイナンシャルリサーチ(2006年1月設立)は2社目の起業。FP業界暦23年目のベテランFPの1人。各種新聞、マネー誌や経済誌、各種メールマガジンなどへの執筆や取材協力、テレビ・ラジオ番組などの出演を通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。
著書に『これから生きていくために必要なお金の話を一緒にしよう!』(ダイヤモンド社)
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。