マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
私が、香港にやってきてもう5ヶ月になります。
はじめは街を歩けば人に当たりそうだったり、信号の仕組みがよく分からなかったりしていましたが、だいぶ街に慣れてきたように思います。
徐々に現地の報道などに触れることも多くなり、少しずつ現地の香港人の話題にもついていけるようになってきました。
例えば、2月初めには香港で最大級の携帯事業者Smartoneがパケット定額制の廃止を行うという報道がありました。確か二週間ほどの告知期間で、その後はパケット定額制の契約コースを廃止するというもの。これまではパケット使い放題だったプランが月2GBまでの通信に制限される上、それ以降一定の使用料ごとにパケット代をとられるという内容で、しかもプランの月額料金は変わらず。企業には有利ですが、利用者にとっては不利な改定でした。
しかも、聞くところによると、説明を聞こうにもカスタマーサービスにはつながりにくく、メールで問い合わせをしても返信がなかったりと、混乱もあったようです。これは当局からの通達により実施したものとのことでしたが、同業他社があまり追随しなかったこともあってか、結局、改定には反対なのだ、とSmartoneは当該改定をひとまず中止しました。また、改定発表後に駆け込み契約した顧客に返金するなど対応に追われているようです。
Smartoneは香港市場に上場しており、同社の株価も改定の発表後、乱高下しました。私は香港での報道や周りの話を聞きながら、動向を継続してウォッチしていましたが、日本では初回の改定発表こそ報道されているものの、続報はあまり報道されていないようです。
さて、Smartoneの話を詳しくご紹介したのは、海外の個別株に投資することの難しさをお伝えしたかったからです。個別株投資において、ニュースを見ることや会社の分析は必須だと思います。しかし、このSmartoneの場合のように、個別銘柄のニュースを追うことは外国にいると簡単ではありません。まして、会社の分析を行うのはそれ以上に困難であるように思います。こちらのウェブサイトで、香港や中国に上場している会社のうち、決算があやしい銘柄を集めているサイトもあるとのことです。逆に言うと、PERやPBRなどの数字だけを見て海外の株を買うのはリスクを伴うということでしょう。日本株であれば、担当監査法人や、掲示板などでの評判、また会社のイメージなど、日々の生活などを送っている間に結構な暗黙の投資情報を得ているものです。
しかしながら、中国株は今後の成長が期待されますし、投資対象の1つとして考えるのは魅力的ではないでしょうか。それでは、どのように投資するのがいいでしょうか。投資信託やETFなどを使った分散投資は手堅いと考えられます。幸い、香港市場はETF(上場投資信託)が充実しており、また競争も激しいことから、特に香港や中国の銘柄を対象とするETFの場合、日本市場と比べて相対的に低いコスト(信託報酬等)で分散投資が可能です。
ハンセン指数に連動を目指すトラッカーファンドオブホンコン(02800)や、H株指数に連動を目指すハンセンH株指数ETF(02828)、中国本土市場(上海・深セン)の指数であるCSI300に連動を目指すDBX CSI300(03049)などがその代表例です。
同様の観点で言うと、REIT(不動産投資信託)もおもしろいかも知れません。香港市場第一号のREITであるリンクリート(00823)は香港の商業施設や駐車場などを多数保有しています。
また、一定規模以上の会社であれば、ビジネスが広範囲であることもあり、相対的に突発的リスクは少ないかと思われます。香港・中国を中心にドラッグストア「ワトソンズ」を展開し、各国港湾事業、通信業などを営むハチソン・ワンポア(00013)や、香港の鉄道網をほぼ独占し不動産業・商業も手がけ、さらに中国の鉄道網やイギリスなど各国の地下鉄運営権の買収など拡大を続けるMTRコーポレーション(00066)、香港の金融機能の中核である証券取引所、香港交易所(00388)などは、いずれも内需系の銘柄で安定した業績が期待されます。しかも、いずれも人口700万人の香港市場のみならず海外に展開しようとしている会社です。また、ハンセン指数採用銘柄なので、外部からのチェックもかなりの程度入っていると考えられます。
もちろん、人が知らないような銘柄を探すことが株式投資の醍醐味なのですが、本連載では中国株投資の第一歩ということで、いくつかの選択肢をご紹介しました。
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