第2回 ここからの豪ドル投資は大丈夫?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第2回 ここからの豪ドル投資は大丈夫?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

豪ドルに関連した投資が人気です。

投資信託でいうと、豪ドル建ての高格付けの公社債などへ投資をしたり、オーストラリア・ドル建ておよびニュージーランド・ドル建ての債券等に投資をする投資信託が純資産ランキング(2012年1月末現在)の2位と3位に浮上してきており、10年もの間トップを独走してきたマンモス投信「グローバル・ソブリン・オープン」の純資産高に迫る勢い。豪ドル建ての債券に投資をしている投信は近いうちにグロソブの純資産残高を抜くだろうと指摘されており、投信市場の勢力図が塗り替えられるのも時間の問題と見られています。

またFX取引ではスワップポイントと言って、低金利国の通貨を売って高金利国の通貨を保有することでその金利差分を受け取れる仕組みがあるため、高金利国である豪ドルが大人気。つまり、豪ドル/円を買えば「円と豪ドルの金利差分」を受け取ることが出来るのです。仮に1枚(※1枚=1万通貨=約86万円程度 2012年3月13日現在)買って保有しておけば毎日およそ100円強のスワップを受け取ることが出来ます。これが豪ドル/円を「売り」でポジションを保有していると100円強を毎日支払う側になりますので、どうしても「売り」よりも「買い」人気が高まります。

豪州は鉄鉱石の上に国があると呼ばれる程に資源が豊富です。資源価格が上昇してきたことと、資源の買い手である中国が成長し続けたことに伴って、豪州の経済は良好に推移してきました。高金利と資源高による好景気という二重の追い風で豪ドル買いに人気が集まってきたのです。

ではいまから豪ドルを買うことを検討してもいいのでしょうか。

まず、注意しておかなくてはならないのは、豪ドルはボラティリティが高いということ。つまり、変動幅が大きい。ドル/円で10円も動いたら相当ですが、豪ドル/円は昨年2011年も4月から10月の半年で18円も下落していますし、2010年も4月から5月にかけてわずか3週間ほどで17円も下落しています。リーマンショックがあった2008年は104円から55円近辺まで、なんと50円近くもの暴落がありました。リーマンショック時は100年に一度と呼ばれた惨事でしたので極端ではありましたが、この時のドル/円の下落は110円から87円で下落幅は23円、豪ドルの半分程度です。いかに豪ドルのボラティリティが高いかわかりますね。要するに、スワップポイントでコツコツ金利差分を受け取ってプラスになっていても、豪ドルが本格的に下げ始めたら全く意味がないわけです。

それでは、豪ドルの先行きはどうなるのでしょうか。先般中国が今年の経済成長率目標をこれまでの8%から7.5%に引き下げています。1-2月の乗用車販売は7年ぶり低水準となる見込みですし、このところ発表されている一連の中国指標が軒並み予想を下回っており、明らかに中国経済はスローダウンとなっています。

豪州の経済指標を見てみても、1月の豪貿易収支は黒字予想だったものが蓋を開けてみれば6億豪ドル強の赤字。2月の豪雇用統計でも就業者数が予想外に減少した一方、失業率は小幅上昇となっており、豪州景気の先行きにも暗雲が立ちこめてきています。豪ドル投資を始めるなら、1~2年に一度ある10円幅以上の急落後がいいのではないでしょうか。少なくても現在のチャートから見ると豪ドルは目先高値水準から値を崩して来ており、スワップ受け取り分よりも値動きによるキャピタルロスのほうが大きくなるリスクが出始めています。まだまだ豪ドルは他の先進国の通貨と比較すると高金利であるため、買人気は継続すると思われますが、このところの異変をまだまだ織り込んでいないと思われます。買うタイミングには十分気をつけましょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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