マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
いつもお読みいただきありがとうございます!香港Monex Boom証券の山田です。
マネックス証券の中国株取引が特定口座に対応します!これを機に中国株投資をご検討になる方も多いのではないでしょうか。
マネックス証券での中国株取引は香港上場株式が対象です。香港上場株式は不動産銘柄の割合が他の市場と比べて圧倒的に多いことで知られます。つまり、中国株を知るにはまず不動産を知るべしということです。
例えば、ハンセン指数は48銘柄で構成されます。このうち9銘柄は不動産銘柄です。また、不動産業に分類されていないけれど不動産が本業であるという会社も多いです。日経平均225銘柄で不動産銘柄が6銘柄であることを考えると、香港における不動産業の大きさが分かると思います。 今回は、その香港の不動産の今後について、一般的な評価と現地での実感を伝えたいと思います。
香港では、不動産開発が可能な土地は全面積の7%程度とされています。一方、香港は国際金融センターであり、富も人も集まります。また、有利な税制は、富裕層をひきつけます。観光も大きな産業であり、特に中国からの旅行客が多く、商業も盛んです。さらに、社会保障が貧弱であることから香港の人は不動産投資をすることが少なくありません。中国大陸の人でも不動産投資は制度のしっかりした香港で行うという人が多いようです。つまり、供給が少ないのに需要が多く、不動産の価値が高いため、不動産ビジネスが盛んなのです。 いまや、香港の中心地はオフィス・商業地ともに、地価や賃料で、世界トップであると言われています。その水準もリーマンショック後に大きく下落した部分を埋め合わせて、過去最も高い水準にあります。
さて、一般的な香港の不動産の今後の見方はどうでしょうか。金融機関や不動産コンサルタントによれば、今年はネガティブな見方が多いようです。金融市場の混乱の影響で、規模の縮小や撤退を行う業者が多いと言われ、事実、最近の報道ではそういうニュースが少なくないです。
また、地価高騰を受け、オフィスなどでは、香港のより地価の安いエリアに移る動きが進んでいます。地下鉄で4駅下ると賃料が1/4~1/5になることが少なくなく移転コストを払ってでもペイするからです。
また、引き締め気味の金融政策は続いており、買い手も少なくなるだろうと言われます。
次に、現地で感じる実感はどうかです。私は、東京勤務だった頃は、日本の不動産ならば、先行指標として、商業地の場合、デパート売上高の推移(デパートは各店の売上高推移を月次で発表していることが多いです)をよく見ていました。デパートの売上は、そのエリアの商業地としての動向を示し、将来の値動きのヒントになると考えていました。オフィスなら、19時頃、どれくらいのフロアに電気がついているかを見たものです。レジデンスなら、周辺物件の条件を事前に比較した上で大規模物件のモデルルームに向かっていました。
しかし、香港ではまだそういった土地勘がないため、実感がつかめません。マンションの明かりがあまりに少ない(投資物件が中心になっている)ようにも思いますが、過去を知らないので自信をもって比較ができないのです。
ただ、一点気になることがあります。香港の不動産屋は過去の成約状況を店頭に出しているのですが、それが増加傾向に見えるのです。不動産相場の天井が見えてきた時の常として買い手と売り手の条件が一致しなくなります。結果、取引件数が減ります。昨年の香港はまさにそういう状況でした。その取引が増えだしているのですが、どうも買い手側の条件に合わせてきているように思えるのです。つまり、株で例えると、買い指値に対し、ぶつけてきているということになります。不動産業者の知人も同様のことを言っていました。
それを踏まえ、香港の不動産につき見聞する中で気になるのは、「利回り概念」と「香港での不動産契約の在り方」です。
香港の地価は値上がりに(特にレジデンスの場合は)家賃がついてきていないように思われます。逆に言うと、特にレジデンス投資の主役である個人は「上がるから買う」という動きになっているようです。利回りや実需を前提としない値動きは不安の残るところです。オフィス・商業地においても、高騰する家賃でテナントが退去していることを考えると、似たような状況が考えられると思います。
また、香港での不動産契約は日本と違い、更新時に賃料が顕著に変化することが普通で、値上がり局面だと賃料が顕著に上がることも多いのです。これは、オフィス・商業地・レジデンスで同様です。その結果、香港ではオフィス移転やお店などの移転が頻繁です。逆に言うと、長期的な関係が乏しいと言えます。
この2つの要因は、一度値下がり傾向が始まると、急落するリスクをはらんでいるように思います。利回り重視の買い手や、長期的契約による値持ちといったクッションがないため、ひとたび不動産価格が下がりだすと、そのスピードが速くなるというリスクです。
ハンセン指数は高値から見るとかなり低迷しており、その中でも不動産株の下落は大きいです。こういう状況は、ある程度織り込まれている面はあるように思われ、むしろ割安になっている可能性はありそうです。また、不動産業は香港の基幹産業で、政治力も強く(事実、香港の行政長官は不動産の大きな下落があれば、それに対処する旨を述べています)、そうそう悪いシナリオは起こらないようにも思います。しかし、中国株に投資するにあたって、上記のような状況を少し心に留めておけばより手堅い中国株投資ができるように思われます。
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