マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
株式投資において、「上場時からずっと保有していれば億万長者」になれたというお宝銘柄を発掘するのは至難の業です。ITバブルの頃に期待されたIT銘柄もほとんどが夢と散りました。キャピタルゲインを目指しての投資は難しいからと内需株、大型株などを配当優待目的で保有すれば事故や不正、倒産などで思わぬ急落に見舞われる・・・。稀にある100万円が1億円になるというようなお宝銘柄も、そうなるまでには10年20年と時間がかかります。
その間全くリスクにさらされないでいられる確率を考えると、そういう銘柄を買うのは宝くじに当たるようなものでしょう。現在、株式投資で大きく利益を上げているという投資家に話を聞くと、その投資スタイルは回転を効かせた短期売買がほとんどで、ヘッジファンド勢も多くがこのスタイルだと考えられます。そして私のFXにおける投資スタイルも、長期保有をやめて短期トレードに切り替えてから収益が上がるようになってきたように感じています。
2007年までの世界が好景気に湧いていた頃、FX取引では、米ドル/円や豪ドル/円、ポンド/ドルなど高金利通貨を買って放置しておく「スワップ狙い」の取引が流行しました。高金利通貨を買うことで「スワップポイント」という金利差分を収益とすることができるFXの仕組みを利用した長期保有目的の取引です。金利が高い国の通貨はこうしたスワップ狙いの取引が流行したためにどんどん買われて通貨高が進み、スワップとキャピタルゲインとダブルでの利益を手にすることができたのですが、これも長くは続きませんでした。
サブプライム、リーマンショック、そして欧州問題。ドル/円は当時の124円から75円に、ユーロ/円は169円から97円とどちらも40%前後の変動となり、ポンド/円は251円から116円になってしまいました。政策金利を見てみると米国が3%⇒0.25%に、英国は5%⇒0.5%に、欧州は4%⇒1%、豪州は7.25%⇒4.25%に引き下げられ、スワップポイントで収益が上げられた時代から環境はガラリと変わってしまったのです。
特にポンド/円は値動きが激しいため、リーマンショックの後は50%も円高が進みました。これはどの市場でも同じような傾向があると思うのですが、私自身が、「長期保有」が有利な投資戦略とは思えない理由は、何年もかけて円安水準に感じていたものが円高に進むときはほんの数週間という短期間であったことを経験したからです。
投資にはサイクルというものがあり、ドル/円などは円高の16年トレンドが終了し円安に向かい始めたという指摘もあり、まさに今が長期円安トレンドの初動と考えることも可能ですが、では仮にこの80円前後で買ったドル/円、どこまで上昇したら利益を確定しますか?目標は?いくらの収益を狙っての買いなのでしょうか。
数年前まで人気だった、スワップ取引。スワップ取引派の投資の失敗は、いつまでもこの金利差の恩恵があると思ったこと、どこまでも円安が進むと考えていたことです。スワップ収益があるために、みるみる外貨が下落してもなかなか売れずに保有し続けたケースが多かったのも、いつまでも株高が続くと思った時代の塩漬け株をずっと保有したままだったりするのも、目標がなく、なんとなくまたいつか戻るだろうという心理からの失敗です。
私はこれまでの経験を通して、収益を上げられる投資は「短期トレード」にあると考えています。というのもFXトレードでは売りからでも投資をすることができ、これまでの円高局面でも収益チャンスはいくらでもあったのです。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
TwitterAccount
@hirokofr
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。