マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
先週末、FX個人投資家120名程が集まるイベントの司会をさせていただいたのですが、個人投資家の皆さんに、この先のドル円相場の行方についてどう考えているかを聞いてみました。このところ著名な為替アナリストや外銀のエコノミスト達は「ドル円相場は大底を入れた」という予測をしているのですが、なんと個人投資家の多くがここから再度円高へ向かう、という予想をしていると答えました。日本の個人は逆張りが好きだとは言いますが、この円安トレンドに於いても逆張りで円買いをしている個人も多いのですね。ちょっと驚きました。しかし雇用統計の結果を受けて、円高となる可能性も大きくなってきているように思います。
先週末4月6日金曜日、アメリカの3月の雇用統計が発表されました。この結果が予想よりも悪かったことから再びQE3(量的緩和策第3弾)期待感が浮上しています。12~2月の雇用統計は3ヶ月連続して非常にいい結果だったことと、アメリカの株価が堅調推移していることから、足元ではQE3観測は後退していたのですが、雇用統計の結果を受けて地合いが変わりそうです。
そういえばダウ平均も日経平均もここのところ息切れ気味。更なる上昇には何かもっと材料がなければ・・・というムードになってきています。過剰流動性相場から業績相場へ-を掛け声に、これから始まる業績相場に期待、といったところでしたが、今回の雇用統計の結果を受けて楽観ムードが後退すれば、株価は更に失速することが予想されます。11月に大統領選挙を控えたオバマ政権にとっても暴落は避けなくては・・・?!そこで市場は新たな買いの材料「QE3」を催促し始めるということが考えられる、というわけですね。(催促の段階というのは相場が崩れ、実施せざるを得ない状況になるということです。つまり、しばらくは株も商品もドルも下落することが予想されます。)
しかし、アメリカは本当にQE3なる追加緩和策を実施するのでしょうか。大統領選挙を控えたオバマ政権にとって、現在のガソリン価格の高騰は頭の痛い問題。イラン制裁問題から原油供給に懸念が生じ、また、イスラエルによるイラン攻撃観測などの地政学リスクから原油価格が高止まりしており、アメリカのガソリン価格は1ガロン4ドルに迫る高騰を見せています。ガソリン価格が4ドルを超えると明らかに景気が失速するとされており、これ以上のエネルギー価格の上昇は避けなくてはなりません。
QE1,QE2を実施した直後を思い出してみましょう。実施直後から株や商品市場には緩和によって溢れたドルマネーが流れ込み、あらゆるものが上昇しました。そして為替市場ではドルが溢れるわけですからドル安です。ギリシャがデフォルトするかもしれない、などというとんでもない問題が起こっていたのにユーロが大暴落とはならなかったのも「QE政策でドルも弱かったから」ですね。
もしここでQE3実施となれば再び商品市場に資金が流入することが考えられる為、QE3の実施には否定的な意見も多いのです。ドル円相場は2/14の日銀の追加緩和を受けて、急激に円安が進行していましたが、FRBがQE3に動くとなれば再びドル安となり、せっかく円安トレンドが形成されつつあったものが再び円高へと向かうことも考えられます。ということで、せっかく円高の流れを阻止できたのにアメリカに緩和に動かれてはたまらないと、今週日銀が追加緩和に動くのではないか、と読む専門家もいるようですが、、、、。(このコラムが掲載される頃には結果が出ていることでしょう)
これ以上の買材料が見当たらないマーケットにおいて、今後の最大の注目は4月24、25日のFOMCでQE3に言及があるかどうかということだろうと思います。そしてそのFOMCを迎えるまでの期間にも、実施観測を巡ってマーケットが大きく動かされることとなるのではないか、と予想しています。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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