マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
大統領選挙アノマリーの一つに「前年の株高」があります。これは現役の大統領が再選されやすくするための政策を打つからだと説明されていますが、実際1934年からの中間選挙年の安値から大統領選挙前年の高値までを検証してみると、ほぼ例外なく上昇しています。しかも平均で50%弱もの上昇ですから、投資戦略に組み入れても十分に機能するアノマリーと言えます。
では為替市場はどうでしょうか。
大統領選挙の年は「ドル高政策」を取る傾向がある、というアノマリーがあります。ドルが弱いと政権与党の大統領候補のイメージが悪化し選挙に負けるというジンクスがあるからだ、という説明があるのですが実際はどうなのでしょう。検証してみました。まずは米ドルの総合的な価値を示す指標「ドルインデックス」で見てみます。なお、検証はプラザ合意の後の1988年から。
1988年9月頃までドル高、その後ドル安
1992年3月頃から8月ごろにかけてドル安、その後ドル高
1996年波はありながらもしてドル高傾向
2000年11月頃までドル高傾向、その後ドル安
2004年前半はドル高傾向、5月頃からドル安
2008年7月頃から11月にかけてドル高傾向(リーマン・ショック)
ドルインデックスから見えてくる特徴は、6回中5回がドル高傾向。1回ドル安だった、ということ。その年にどんな材料があってドル高となっていたのかまでは検証していませんが、ほぼアノマリーに沿った値動きと言えます。そして面白いのが選挙のある11月に向けてトレンドを形成し、選挙前後からトレンドを終えるということ。やはり選挙を意識した値動きのような気がしますね。
ではドル/円相場に限定して検証してみます。
1988年6月までレンジ、10月までドル高傾向、以後12月に向けドル急落
1992年10月上旬までドル安、以降下げ止まり反発も力弱い
1996年ドル高傾向
2000年10月までレンジ、11月からドル高
2004年年初ドル高年央レンジ、10月頃からドル安傾向に
2008年3月に向けてドル安、年央ドル高、9月からドル急落
ドル/円に限定して見えてくる特徴は、年末の動きはドルインデックスと概ね似通っているのですが、年央くらいまではレンジではっきりしない値動きであることが多いということ。
基本的にドル/円の年間平均変動率は18%ぐらいとされていますが、実は大統領選の年はおおよそ11%ぐらいしかありません。ですからドル/円相場に限っては『大統領選の年はあまり動かない』というアノマリーも存在しています。(リーマン・ショックがあった2008年は例外ですが・・・。)
ところが、2012年は2月14日の日銀の緩和政策発表からドル/円相場が急伸し、76円から84円近辺まで一気に上昇しました。実に10%を超える変動幅です。これまでの大統領選挙ドル/円アノマリーに照らしあわせてみると、ドル/円相場はほぼ今年の高値と安値をつけてしまった、と言うことになりますね。此処から先は76円~84円の間のレンジ相場になる可能性もある?!・・・しかしながら、2011年までの円高トレンドの相場とは様相が異なることは誰の目にも明白ですね。
FRBバーナンキ議長は2月末に行われた半期議会証言(ファンドマネージャー達が当面の投資戦略を固める指針としている重要な金融政策報告)で原油高に起因する一時的なインフレの加速に警戒感を示しています。これを「これ以上のドル安はインフレを招くとして歓迎しない」というメッセージだと指摘する向きもあります。つまり今年はFRBもドル安政策は取らない可能性がある、ということ。今年も不思議とアノマリーに沿った流れに傾いているようです。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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