マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今週末からGW入りとなります。
昨年2011年のGWはギリシャのユーロ離脱の噂など欧州問題がある中で、アメリカのQE2終了への警戒などからコモディティ、株価が下落を開始。その前の年、2010年もポルトガルやスペインの格下げの噂がある中、フラッシュ・クラッシュと呼ばれるダウ平均株価1000ドル下落現象からコモディティ、為替市場も暴落となりました。そもそもGWは日本の休暇であり、欧米マーケットには関係がないはずですが、不思議とGW前後からマーケットが地合いを急変させることが続いており、今年も警戒が高まっています。
ウォール街には「Sell in May and go away」という格言があります。
アメリカの株式は例年6月から9月にかけて頭が重くなりがちなので「5月に売って遊びに行け」という意味ですが、偶然日本のGWと重なっていますね。海外勢はGWではなく「Sell in May~」格言を意識する時期に入ってくる、ということになりますが、どのようなリスクを警戒しておけばいいのでしょうか。
まず、アメリカは5月中間決算・11月本決算のファンドが多く、利食いが入る時期とされています。今後の相場観とは関係なしに利食えるものは利食ってきますから、これまで高かったものが下落するリスクが出る時期に入るのです。またヘッジファンドの多くは、解約申し込みを四半期末に限定しており、投資家は各四半期末の45日前までにヘッジファンドに解約申請をしなくてはなりません。これが「45日ルール」と呼ばれるもの。これ以上の上昇が見込めない、あるいは下落するだろう、というリスクを警戒した投資家はヘッジファンドの解約を申し入れることが予想されることから、2月15日・5月15日・8月15日・11月15日は注意を要するとされています。こうしたリスクは例年のことであり、特に今年特有の材料ではありませんが、5月に売れ、というのはこうした背景に起因していると考えられます。
では特に今年GW(5月)のリスクとして念頭に置いておきたい材料とは?!
まずは5月6日のギリシャ総選挙とフランス大統領選挙の決選投票。与党が敗れれば緊縮財政が実行されないという見方から、現在ギリシャ問題が落ち着いて穏やかに見えるユーロ相場の波乱要因となるでしょう。日本のGW最終日ですね。
また、格付け機関ムーディーズが5月半ばに主要米銀の格下げをする可能性が指摘されています。モルガン・スタンレー銀行が3ノッチ引き下げでトリプルB格になるとか、シティバンク、バンク・オブ・アメリカなども同じように引き下げられるとの噂もあり、それが現実となればそのレーティングに沿って機械的に売らなければならないところが出てくるため米銀株主導で大きな株式市場の下落が予想されます。今年の5月は格付け機関の動向には注意が必要です。
そして証券市場関係者が噂するのが大型IT銘柄Facebookの上場。早ければ5月中に上場するようですが、上場時の時価総額はなんと最大1000億ドル!資金調達は50億ドル程度とされており、株式市場の歴史始まって以来最大のものになると見られています。このFacebook上場が一つの転換期となるのではないか、という指摘があるのですが、実は1980年アップルが上場した12月はナスダック総合指数は9%下落、2004年8月にGoogleが上場した際にはナスダック総合指数は14%もの下落となっており、過去の大型上場の際には換金売りから一旦相場が終わる傾向が。Facebook上場がマーケットの転換となり天井ウチとなってしまうのではないか、との見方が出ていることから特にナスダック総合指数の推移に注意。Facebookがなくてもアップル株が年初から40%以上もの上昇を見せ、ナスダック市場を牽引しており、こちらもバブルではないか、との指摘も・・・・。
5月4日は日本がGW中での米4月雇用統計の発表があり、この結果にも注意が必要ですが、こうして列挙した様々なリスク要因は株やコモディティ市場の下落と、ドル/円相場の更なる円高に警戒をしておきたい、ということです。その前にもし、今週のFOMCと日銀の政策決定会合で追加緩和を発表されれば、一時的にリスク選好相場となり株価上昇局面もあるかもしれませんが、その先にある様々なリスク要因が潜んでいることをお忘れなく。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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