第10回 中国消費市場の離陸を投資に活かす~香港銘柄紹介 第四回:小売業銘柄編【香港より生レポート~中国株の今を知る】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第10回 中国消費市場の離陸を投資に活かす~香港銘柄紹介 第四回:小売業銘柄編【香港より生レポート~中国株の今を知る】

 
こんにちは。マネックスBOOM証券の山田です。このコラムでは以前からユニクロやイオン、サイゼリヤなどの進出の話を交えつつ、中国での小売・サービス業の成長余地が高いこと、日本企業に大きなチャンスがあることを書いてきました。

そのストーリーは以下のようなものです。現在、中国の一人あたりGDPは、日本の1970年代から1980年代の水準で、所得水準も同様と思われます。ただ、中国では所得水準の高い沿岸部と内陸の格差が大きく、これから、日本での1980年代から直近までの消費社会の成長を中国はなぞっていくと思われます。人口は日本の10倍以上なので、その影響たるや爆発的なものとなるでしょう。

すでに、中国でそういう日本をなぞらえた成長に成功している日本の会社もあります。よく言われるのは、ユニ・チャームでしょう。同社の地域別の営業利益を見ると、2005年度には日本で247億円、中国含むアジアで31億円でした。それが、2011年度には日本は293億円と大きくは変わりませんが、同アジアは219億円と、実に7倍になっています。同業の花王を同じように見ると2005年度のアジアでの営業利益が58億円、2011年度で91億円と2倍に満たないので、ユニ・チャームの成長度合いがよく分かります。

株価も6年前(2006年5月16日)から見て、ユニ・チャームは2倍以上になっているものの花王は3割程度下がっています。当時の日経平均株価は16,000円を超えていたので、花王も健闘していると言えますが、ユニ・チャームの数字は圧巻です。アジアでの今後の成長が大いに織り込まれているといえるでしょう。

紙おむつや前回ご紹介したような家電などの消費財は小売やサービスに先行して成長市場を開拓します。フォードは1905年、コダックは1923年には日本に進出していますし、ハインツも1961年、ケロッグも1962年です。一方、セブンイレブンやマクドナルドは後述のように1970年代になります。

さて、小売・サービス業の話に戻ります。2012年4月の中国の貿易統計はEU向けの輸出の落ち込みを理由に非常に低調でした。また、4月には人民元の1日の変動レート(対米ドル)を拡大することを決めています。また、インフレ率も落ち着いてきました。工場はより物価の安いベトナムやカンボジアに向かい、最近はミャンマーが注目されます。世界経済の現況を考えると、輸出をてこに成長してきた中国は内需拡大・人民元切上げ方向に進んで行くことが、よりはっきりしてきたと言えるでしょう。日本で言うと、前川リポートの出た1980年代のような状況です。日本で小売・サービス業の成長したフェーズに中国は進みつつあると言えます。

それでは、1980年代から90年代に、日本で何が起きたかを確認しましょう。代表的小売業でいえば、セブンイレブンは一号店開店が1974年度です。1,000店舗を展開するのには6年かかりました(1980年度)。しかし、その後6年ごとに見ると、約3,000店舗(1986年度)、約5,000店舗(1992年度)、約7,700店舗(1998年度)、約10,800店舗(2004年度)約13,200店舗(2010年度)と急成長しています。1971年度に1号店を出店したマクドナルドも似たような軌跡です。両社とも、特に1990年代以降に急成長しています。1990年代は日本の小売・サービス業の華の時代でした。ファーストリテイリングもドン・キホーテもオリエンタルランドも1990年代に上場しています。ニトリ、ヤマダ電機、しまむらも1988年から1989年です。おそらく中国でも同じように小売・サービス業が輝く時代がやってくると思います。

2012年5月13日の日経新聞で、ファミリーマートの社長は「中国だけでも最終的に2万5千店は出せる」とコメントしています。ローソンは決算資料で中国に400店舗出店と書いています。しかし、海外進出で先行するセブンイレブン・ファミリーマート・ミニストップ3社(ローソンは海外400店舗弱と少数)を合わせた店舗数は韓国(人口約5,000万人)が約15,000店舗、台湾(人口約2,500万人)が約7,500店舗、タイ(人口約6,500万人)が約7,000店舗なのに対し、中国(人口約13億人)では、約2,700店舗に留まります。この数字は中国の小売マーケットの開拓はこれからだということを示しているのではないでしょうか。

さて、日本企業にも注目したいところですが、本稿の趣旨に則り、香港市場の小売業の話をしたいと思います。

ハンセン指数採用銘柄だと、コングロマリットのハチソン・ワンポア(00013)は小売・港湾・通信他という異形のコングロマリットですが、傘下のドラッグストア「Watsons」は中国本土に500店舗を構えます。また、エスプリ(00330)も中国小売事業を有しています。(前回ご紹介したカジノのサンズ(01928)がハンセン指数に採用されたので、時価総額下位のエスプリは除外のリスクもありますが・・・)

その他、化粧品小売チェーンのササ・インター(00178)も中国の店舗数を増やしてきており、売上も急増しています。宝飾品の周大福(01929)も中国に圧倒的な店舗基盤を抱えているため期待されるでしょう。最近、香港市場では香港の少食堂チェーンの上場が話題となっていますが、現在上場している大家楽集団(00341)も中国で外食店舗網を急激に拡大しており今後が期待されそうです。

■今回取り上げた銘柄

ハチソン・ワンポア(00013)...香港の資産家トップ李嘉誠氏の長江実業傘下のコングロマリット。1,000株単位で最低売買金額は70万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

エスプリ(00330)...「ESPRIT」ブランドで有名なアパレルの製造小売業。欧州で強く、中国事業を強化中。100株単位で最低売買金額は1.5万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

ササ・インターナショナル(00178)...香港を中心にアジア各地に展開する化粧品小売業。中国の売上は数%だが、強化中。2,000株単位で最低売買金額は9万円程度。

周大福(01929)...中国に1,500店舗超を有する宝飾品大手。昨年香港市場に上場し、時価総額は1兆円を超える。200株単位で最低売買金額は2万円程度。

大家楽集団(00341)...香港最大級の外食チェーン。中国展開を強化しており、昨年度は25%超の成長。100店舗超の出店を継続中。2,000株単位で最低売買金額は40万円程度。

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コラム執筆:山田真一郎  マネックスBOOM証券 マーケティング部

マネックス証券入社後、日本株の業務・商品・トレーディングツールの企画・マーケティングなどを担当。2011年10月よりマネックスBOOM証券に勤務。日本証券アナリスト協会検定会員。

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