第11回 中国への投資か香港への投資か~香港銘柄紹介 第五回:不動産会社銘柄編

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第11回 中国への投資か香港への投資か~香港銘柄紹介 第五回:不動産会社銘柄編

こんにちは。マネックスBOOM証券の山田です。以前からご紹介しているように、香港市場の特徴は不動産銘柄のプレゼンスがとても大きいのです。時価総額で2兆円を超える長江実業(00001)、サンフンカイ(00016)に加え、3大デベロッパーと呼ばれるヘンダーソンランド(00012)などハンセン指数は不動産銘柄がずらりですし、時価総額でも同様に不動産銘柄が上位に来ています。

香港と言えば、想像されるのはあの高層ビルが林立する夜景でしょう。いまやオフィス・商業地ともに世界最高クラスの賃料である当地において、不動産業のプレゼンスが上がるのは至極当然のことのように思えます。実際、香港ではコンサートや文化行事などのスポンサーも不動産業者が行なうことが多く、「香港の超人」と称される李嘉誠氏を代表に大学のキャンパスや公共施設にも彼らの寄付した施設が少なくありません。

しかし、中国株投資ということを考えた時には注意すべきポイントがあります。それは、これらの香港市場の大手不動産銘柄はそのビジネスの多くを香港に依存しているということです。もちろん、先ほど申し上げたように香港の不動産価値は莫大です。この地でのビジネスも魅力があり、また成長性が否定されるものではないですが、いわゆる中国の成長を直接的に享受できるわけではないということにご注意ください。

なお、これは、不動産業以外の銘柄にも言えることで、香港=中国とみなしてしまうのではなく、香港市場上場銘柄であっても香港のビジネスがメインなのか、大陸中国でのビジネスがメインなのか、あるいは香港のビジネスをメインとしており、中国でのビジネス展開を進めているのか(最近はいよいよこのパターンが増えています)といった点を意識する必要があります。繰り返しになりますが、人口も増えており、観光客もうなぎのぼりの香港も魅力的なマーケットです。しかし、これからの成長率を考えると大陸中国と香港に大きな格差があると考えるのが普通でしょう。

そもそも証券市場でも中国には上海と深センにそれぞれ取引所が存在します。必ずしも香港市場が中国を代表する市場とは言えません。たとえば、不動産で言うと、万科企業という中国大陸最大手のデベロッパーがあります。この会社の時価総額は1兆円を超えており、前期の利益も1200億円程度の会社です。日本の三井不動産や住友不動産に匹敵する規模ですが、同社は深セン市場に上場しており、香港市場には上場していません。
では、香港上場で、中国大陸に対するプレゼンスの大きい不動産銘柄とはなんでしょうか。代表的なのは中国海外発展(00688)です。同社は中国政府の資本が大きく入っており、北京・上海・広州といった大陸の3大都市にも物件を有する中国大陸のウェイトの大きい銘柄です。同様に恒大地産(03333)も中国大陸でのビジネスがほとんどであり、中高級住宅の開発実績が豊富です。碧桂園HD(02007)も二社に次ぐ規模であり、大陸でのビジネスを中心とする会社です。同社と恒大地産は地方にも進出を進めているため、今後、所得水準の向上が地方へも波及していく中でその果実を得られそうです。
ただ、現状では中国大陸での不動産市況は楽観的な見方ばかりではありません。むしろ、景気の鈍化が言われており、厳しい見方をする人が多い状況です。そういう意味ではむしろ最初に取り上げたような香港の大手不動産会社の安定性も魅力に感じられるかも知れません。また、これらの会社は中国大陸でのビジネスも進めており、当然ですが香港一辺倒の会社というわけではないのです。

香港最高層のICCビル、それに次ぐIFCビルを開発したサンフンカイ(00016)、香港中に開発した物件が立ち並び、ランドマークとなるオフィスビルも多数保有する長江実業(00001)、多数のショッピングモール・オフィス(マネックスBOOMのオフィスもそう)を保有するヘンダーソンランド(00012)などが主ですが、恒隆地産(00101)も香港・中国のバランスの良い不動産会社として覚えてください。

■今回取り上げた銘柄
サンフンカイ(00016)...香港の大手不動産会社。IFC・ICCなどのタワーの他、子会社に携帯電話会社もある。1,000株単位で最低売買金額は90万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

長江実業(00001)...李嘉誠氏の会社でグループの持ち株会社の面も。ハチソン・ワンポア株式も多数保有。1,000株単位で最低売買金額は90万円程度。ハンセン指数採用銘柄。
ヘンダーソンランド(00012)...香港三大デベロッパーの一つと呼ばれる。ガス会社やフェリー会社なども傘下。1,000株単位で最低売買金額は40万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

中国海外発展(00688)...中国政府系のデベロッパーで大陸の不動産会社上位に入り、各地にオフィスビルなどを保有。2,000株単位で最低売買金額は35万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

恒大地産(03333)...中高級住宅主体。中国全体で広く不動産開発を行なっている。サッカーチーム広州恒大のスポンサー。1,000株単位で最低売買金額は5万円程度。

碧桂園HD(02007)...中国大陸全土で住宅開発を手がける。販売は中高級住宅が主体でホテル運営も行なっている。1,000株単位で最低売買金額は3万円程度。

恒隆地産(00101)...香港不動産大手だが、大陸への進出を90年代初めに行い、多数大型ビルを保有し、業績の柱に。1,000株単位で最低売買金額は25万円程度。ハンセン指数採用銘柄。
(2012年5月30日時点)
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コラム執筆:山田真一郎  マネックスBOOM証券 マーケティング部

マネックス証券入社後、日本株の業務・商品・トレーディングツールの企画・マーケティングなどを担当。2011年10月よりマネックスBOOM証券に勤務。日本証券アナリスト協会検定会員。

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