第8回 ギリシャ、ユーロ離脱すれば金はどうなる 【豊島逸夫の金道場】

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第8回 ギリシャ、ユーロ離脱すれば金はどうなる 【豊島逸夫の金道場】

仮にギリシャがユーロを離脱。スペイン、イタリアへ債務不安伝染懸念のシナリオが現実となった場合のマーケットの反応だが、金はまず売られよう。その時点では強度のクレジット・クランチ(信用収縮)が欧州域外銀行群にまで拡散し、「金よりキャッシュ」の流れで金も「流動性捻出」のため売り込まれよう。
ユーロ安はドル高にもなるので、これも金には売り材料となると考えられる。
しかし、欧州債務危機の問題は流動性(liquidity)の問題とsolvency(債務返済能力)がある。流動性枯渇で金市場も換金売りのラッシュに見舞われても、ECB(欧州中央銀行)がLTRO強化などの救済策に出るだろうから、金の下げも一過性と見られる。

一方、ソルベンシーの問題は一過性とは言えない。構造改革が必要な根源的問題だ。そこで、金は短期的に売られたあと、中長期的には「安全性への逃避」が(急激ではないが)、ジワジワと買いとなり進行するだろう。実はリーマンショック後にも金価格は一時売られ暴落後、買い戻され史上最高値更新するに至った経緯がある。その時も、下値からの買い支えの主力は中国・インドなどの新興国(民間及び公的セクター)であった。
金はソルベンシー危機には強く、流動性危機には弱いとも言えよう。

さて、中国利下げの材料は金にどう影響するか。ポイントは「実質金利」。これがゼロに近いかマイナスだとマネーは金などモノに流れがちになる。
そこで中国の場合だが、利下げで銀行預金金利が3.25%に下がったのでマネーは預金から流出ともなりそうだが、物価上昇率も3%へ下落・鎮静化しているので、結果的に実質金利は変わらず。ゆえに利下げ=預金から金への流れ加速とは言えないと考えられる。とはいえ、実質金利そのものの水準がゼロに近いので、中長期的にマネーは銀行預金するより金利を産まなくても金などリスク資産に動きがちという状況も変わるまい。

しかし、利下げの背景にはマクロ経済減速があるわけで、購買力減退―金需要も減退ということにもなる。そこで、市場では強弱両方の材料にされるのだが、総じて、中長期的には金には上げの方向に働きそう。

最後にスペイン銀行支援合意の影響だが、ユーロ高、ドル安に振れることで、金には上げ要因となっている。

但し、週末のギリシャ再選挙待ちの状況は他市場と同じ。
というわけで、筆者は、「行動する経済アナリスト」としてギリシャ・中国の出張に出る。(アテネは今年3回目。)再選挙と中国経済減速の実態を見てくる。そのレポートは帰国翌日の日経CNBC主催プレミアム・セミナーで行なう。

www.nikkei-cnbc.co.jp

コラム執筆:

豊島逸夫(としま・いつお)

豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。2011年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに 金の第一人者として素人にも分かりやすく 独立系の立場からポジショントーク無しで 金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。

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