第15回 何を指標にトレードしたらいいの?【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第15回 何を指標にトレードしたらいいの?【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

先週日曜に行われたギリシャ再選挙は緊縮策を支持する新民主主義党(ND)が勝利を収め、市場にはひとまず安堵が広がっていますが、ポジションの偏りなど需給からユーロが買い戻されて上昇することがあっても、まだ積極的にユーロを買うことができる環境ではないと思っています。ギリシャだけではなくスペインの財務問題も深刻で救済の目処は立っていません。今は単発的に出てくるポジティブニュースの賞味期限がどのくらいかを見極めて再度売り直すのが有効なトレードだろうと思っています。いくらユーロ/円が100円を割り込んで割安に思えるからといってユーロを買って長期に保有するなどと考えないように。値頃感ほど危険な指標はありません。絶対値でみる割安、割高という感覚は市場の摂理とはなんら関係のない基準です。
では一体何を基準に売買したらいいのでしょうか!?
今回は今、私がトレードをする際に何を参考にし、どのように判断して売買の指針としているかについて書いてみたいと思います。

【1】米国株式(ダウ平均、ナスダック総合指数)

その昔、ダウ平均と日経平均株価はミラー相場でほとんど同じ動きをしていたのですが、現在はダウ平均が上昇しても日経平均は上昇できず、下落にだけ連れるという厳しい値動きが続いています...。為替市場においては特に今年(2012年)に入ってからユーロ/ドル相場との相関が強く、米株が上がればユーロも上昇、リスクオンなら株高、ユーロ高、円安、リスクオフなら株安、ユーロ安、円高、というように米株の値動きをユーロトレードの指標にすることが出来ます。ただし、これは大局的な方向が同じということではなく、分足、時間足といった短いスパンでの相関指標として私は、使っています。

長い目で見ると、米株は2012年5月に天井をつけたか?というような形にも見えるのですが、今年は大統領選挙もあり、現政権オバマ大統領には株安は不利に働くため、崩落するような極端な値動きとなればQE3(追加緩和策)に踏み切るだろうという見方も根強く残っています。その場合は今年最大の上昇相場の幕開けです。ドルは売られ、ユーロも大きく買い戻されるでしょう。しかし緩和がない場合、米株は今年の高値を超えられずに下落を継続、世界の株価もさらに下落する可能性が強いのではないかと思って見ています。ユーロも下落が続くのではないでしょうか。

【2】CRBインデックス

CRBインデックスとは米国内の各商品取引所等で取引されているエネルギーや貴金属、農産物などのコモディティを幅広く網羅する国際商品先物指数。物価上昇率(インフレ動向)の先行指標として注目されていますので、景気の先行き、つまり株価の先行指標として見ることも出来ると思います。2012年米株が崩れ始めたのは5月でしたが、CRBインデックスは2月下旬には天井をつけて下落していました。2011年も5月にCRBインデックスが天井をつけて下落を開始していますが、米株が下げたのは7月頃から。2~3ヶ月くらい米株を先行して動き始める傾向が見られるため、CRBインデックスが底打ち確認できたら株式市場も上昇できると注視しています。

【3】ドイツ、米国、日本国債

今、この3カ国の国債市場に資金が集まっています。ギリシャを巡る混乱から株式も商品市場も不安定な値動きとなっており、リスクを嫌った資金が安全資産でと考えられる国債に流れ込んできているのです。株式や商品市場に資金が戻り、上昇相場に転換する際にはこの国債市場からの資金流出が見られると考えられます。現状の総悲観センチメントの変化はまずこの3ヶ国の国債バブルの崩壊から始まるでしょう。

【4】スペイン、イタリア国債、CDS

ギリシャが問題なのは周知の事実ですが、今後の問題の焦点は周辺国への波及です。スペイン10年物国債利回りはとうとう市場からの資金調達が不可能な領域と言われる7%台にまで上昇。これが落ち着かないことには今回の危機はまだまだ継続していると見て、積極的なリスクテイクは避けるべきだと思います。たとえ株が上がっても、です。

私は、現状、前述の内容以外にも金価格や原油価格・米住宅価格動向なども今後のマーケットがどちらに向かうのかを見極める際の指針として日々チェックしていますが、長くなるので割愛します。過剰流動性マネーはまだ市場に溢れていると思います。しかしながら実体経済の支えにはなっていません。市場は更なる緩和を催促し始めており、近くアメリカや欧州、中国、日本が追加緩和に踏み切る可能性は低くないと思っています。今、この過剰流動性マネーがどこに集まっているのか、そして為替市場は何に相関して動いているのかを見極め、方向性を見出し、その上でテクニカル分析に基づいて初めてトレードが可能となるのです。

売られ過ぎだからそろそろ買おうかな、などというトレードは決して成功しないと思って下さい。また、こうした指標が参考となるのはあくまで現状のマーケットにおいて、です。リスクを積極的に取ることができる相場となれば先行指標も変わってきますのでその時はまたこのコラムで紹介していきたいと思います。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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