第12回 配当金も魅力な香港上場銀行銘柄~香港銘柄紹介第六回:金融機関銘柄編 【香港より生レポート~中国株の今を知る】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第12回 配当金も魅力な香港上場銀行銘柄~香港銘柄紹介第六回:金融機関銘柄編 【香港より生レポート~中国株の今を知る】

こんにちは。マネックスBOOM証券の山田です。先のコラムでは不動産をご紹介させていただきました。香港は金融の街でもあります。香港の金融の中心地は香港島、その対岸である九龍側から香港島を見ると、香港上海銀行(HSBC)とスタンダードチャータード銀行のビルが並び、ユニークな形状の中国銀行ビル、さらにシティバンクタワー、中国工商銀行タワー、バンク・オブ・アメリカタワーと銀行のビルが軒を連ねており、香港の主力産業である金融業の存在感を感じさせられます。

日本での発券銀行は中央銀行である日本銀行ですが、香港では香港ドル紙幣の発券も民間銀行が行なっています。HSBCとスタンダードチャータード銀行(02888)、中国銀行(香港)です。三社とも香港取引所に上場しています。HSBC(00005)と中銀香港(02388)はハンセン指数にも採用されています。

ご存知の通り、現在は欧州を中心とした金融危機がいまだ続いていることもあり、香港の金融機関の株価は以前より安い水準です。また、金融機関各社はもともと配当性向が高かったこともあり、配当利回りは高い水準です。例えば、HSBCの場合、約4.7%(以下全て実績ベース。株価は6/19終値ベース)で、中銀香港の場合、約5.1%です。スタンダードチャータード(02888)はやや落ちて約3.5%。日本のメガバンクは三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が約3.3%、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が約4.0%、みずほフィナンシャルグループ(8411)が約4.8%であることを考えると、魅力的な水準と言えるかも知れません。

ただ、特にHSBCやスタンダードチャータードは本拠地がイギリスであり、欧州の影響を受けやすい点には注意が必要です。そういう観点で言うと、よりローカルな銀行として、東亜銀行(00023)やHSBC傘下の恒生銀行(00011)があります。両社は香港や中国でリテールを中心とした業務を行なっています。恒生銀行はハンセン指数を算出していることでも有名です。東亜銀行の配当利回りは約3.5%、恒生銀行は約4.9%とこちらもなかなか高い水準の配当利回りです。

上記の銀行は法人向けや個人向けいずれにおいても、香港や中国において基盤を有しており、当然、中国の経済成長という観点で見てもおもしろい投資先ではないでしょうか。心配されている香港・中国の不動産価格の下落などの影響を受けやすい面もありますが、中長期的な中国経済の成長を期待するのであれば、下落局面こそチャンスとも言えるかも知れません。

ちなみに、香港では銀行は、ユニバーサルバンクとなっており、証券業務も取り扱っています。たとえば、一般の個人の方は銀行のネットバンキングサービスでそのまま株式や債券などに投資することができます。個人の株式取引の2/3程度は専業の証券会社ではなく、銀行経由での取引となっています。結果的に、香港では専業の証券会社は相対的に規模が小さく、日本でいう大手証券ほどの会社はありません。

保険会社をみてみると、中国最大の生命保険会社である中国人寿保険(02628)が香港取引所に上場しています。HSBCが筆頭株主である中国第二位の中国平安保険(02318)も同様に上場していますが、配当利回りは両者とも低水準です。

その他、金融関連でいうと、この度ロンドン金属取引所の買収を発表した香港取引所(香港交易所)(00388)も代表的な銘柄と言えます。ロンドン金属取引所(LME)の買収価格1388百万英ポンド(約1700億円)は現在のLMEの収益水準からすると高く、また香港取引所の財務の悪化を懸念し、発表後は大きく売られています。そもそも、LME買収が報じられた今年初めから見ても香港取引所株はかなり売られてきていたので、現在の株価水準はここ3年間でもっとも安い水準となっており、2010年11月の高値からは半値程度になっています。今年の香港でのIPOが伸び悩んでいることも香港取引所にとっては悪材料になっているようです。

もっとも、香港取引所の業績はここ3年拡大基調ですし、リーマン・ショック時でも減収は10-20%程度で安定した収益をあげています。過去最大の取引所買収とはいえ、同社の時価総額が現在でも1.2兆円程度であることを考えると、長い目で見るとおもしろい場面と言えるのかも知れません。配当性向も高く、約3.8%の配当利回りです。ただ、買収によって、減配が懸念されますが。

いずれにせよ、金融は不動産と並んで香港経済の屋台骨です。シンガポールや上海も今後大きく成長すると思われますが、金融産業は人材などの集積要素も大きく、容易に香港の地位が低下するとは思われません。配当利回りもなかなか魅力的です。ポートフォリオの中にぜひご検討ください。

■今回取り上げた銘柄

HSBC(00005)...グローバル金融機関。香港を軸にアジアで広く展開。中国の銀行や保険会社にも出資。400株単位で最低売買金額は28万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

中銀香港(02388)...本土の中国銀行系で、同行や中国政府との関係を活かし、人民元業務では有利なポジション。500株単位で最低売買金額は12万円程度。ハンセン指数採用銘柄。
スタンダードチャータード(02888)...発券銀行の一角。新興国に強く、特にアジア圏に重点を置く。香港マラソンのスポンサー。50株単位で最低売買金額は9万円程度。

恒生銀行(00011)...HSBCの傘下で香港地場の代表的銀行。香港で圧倒的な地盤を持ち、地下鉄各駅にATMや支店を配備。100株単位で最低売買金額は10万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

東亜銀行(00023)...香港の独立系地場銀行では最大手。中国への展開も進んでおり、香港と並ぶ収益基盤に。200株単位で最低売買金額は5万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

中国人寿保険(02628)...中国本土最大の生命保険会社。ニューヨーク証券取引所にもADRで上場している。1,000株単位で最低売買金額は20万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

中国平安保険(02318)...中国2位の保険会社。生損保いずれも2位。政府系ではない唯一の大手保険会社。5000株単位で最低売買金額は31万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

香港取引所(香港交易所)(00388)...香港で唯一の証券取引所。上場時価総額で世界5位級。IPOでは過去3年間首位。100株単位で最低売買金額は11万円程度。ハンセン指数採用銘柄。

(2012年6月20日時点)

コラム執筆:山田真一郎  マネックスBOOM証券 マーケティング部

マネックス証券入社後、日本株の業務・商品・トレーディングツールの企画・マーケティングなどを担当。2011年10月よりマネックスBOOM証券に勤務。日本証券アナリスト協会検定会員。

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