マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今夏2012年の海外旅行者数が推定1800万~1900万人と過去最多水準になりそうだとの報道に「円高だからね~」と、日本の誰しもが為替効果による現象だろうとイメージできるくらいに最強通貨円のポジションは揺るぎないものとなっています。
強い円を持って海外に出かけるのもいいですが、投資でキャピタルゲインを得るのなら、この強い円で何か海外の物を買っておけばいいわけです。単純に米ドルを買ってみる、というのがひとつの方法ですが、果たして今1ドル78円台で米ドルを買ってもいいのでしょうか。
ドル/円相場は2011年10月31日の1ドル75.55円の史上最高値を大底に16.5年サイクルの円高が終了し長期の円安トレンド入りしたとの見方が大勢でしたが、なかなか本格的な円安トレンドを描くことができません。現在は80円台になるのが重く大台を維持することが出来ずに70円台へと押し返される相場が続いています。
一時は、70円台で買っておけば将来的にはお宝ポジションになるだろうと簡単に考えていた頃もありましたが、やはりどうせ買うならできるだけ円高極まる、というタイミングがいいように思います。直近の値動きはどうも「円高の夏」を彷彿させるものではないでしょうか。
ドル/円相場、アノマリー的には7月が円安、8月が円高になりやすいとされており、実際リーマン・ショック以前の1998~2007年までの10年間を調べてみますと、7月は8回が円安で、円高となったのはたったの2回でした。8月は9回が円高、円安になったのはたったの1回。高確率で7月円安、8月円高となっていますので、7月にドル/円を買って8月に売り、再度8月の円高の極まったところで買えばいいということになりますが、実はこのアノマリー、リーマン・ショック以前までです。
リーマン・ショック以降の2009年から2011年までの3年間を調べてみると、7月は3回とも円高、そして8月も3回とも円高でした。つまりこの3年間、7~8月の2ヶ月間は円高が進行し続けたことになります。
そして2012年7月も現在までのところ円高です。7月の寄付き値79.85円を上回って終えることができるかどうか微妙なムード...。このまま円高で終わり、8月も尚円高という相場が訪れるとなると、今年6月1日につけた2番底とも期待された安値77.66円を守れるとは思えず、再度史上最高値の75円方向に向かって行くこととなると思われます。
つまり、ドルを買うのは8月まで待った方がいい?!
ちなみに1998年から昨年までの14年間で8月が円安となったのはたったの2回。このケースでは7月も円安となっていました。つまり、7月が円安で終わらなければ、8月は決して円安にはならなかったということです。7月が円高で終わるなら、8月も円高になると見ておいたほうがいいでしょう。これはあくまで、アノマリー(過去の経験則)ですが。
では何故8月は円高となってしまうのでしょうか。
一般的に解説されるのが8月中旬の米国債利払いです。米国債の利子を円で支払う為に、ドルから円に両替される際、大量のドル売り円買いが起こるから円高になりやすいというものですが、ドル円市場の1日の取引額は膨大ですので、これが需給面から見て円高へのインパクトになるものとは考えにくいのが現実です。
他にも夏休みで流動性が低いせいだとか、円売りドル買いを仕掛ける投機筋(短期筋)が休んでいるからだとか、いろいろな考察はあるのですが、私は、実は皆がこのアノマリーを意識しているから円高になってしまう、というのが真相ではないかと思っています。8月が高確率で円高となってきたことは周知の事実。これだけ高確率でトレンドが出るものは珍しく、これに乗ることが出来れば高確率で利益を手にすることができますものね。原稿を書いている今も、ドル円相場78.70円くらいまで円高が進んできました。今年もまた「円高の夏」がやってきそうです。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
TwitterAccount
@hirokoFR
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。