第25回 豪ドル上昇トレンドは継続するか?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第25回 豪ドル上昇トレンドは継続するか?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

豪ドルの頭が重くなってきています。豪ドルの軟化は調整安?押し目買いのチャンスと考えていいのでしょうか。
現状のオーストラリアの政策金利は3.5%。先進国政策金利が0%台まで引下げられる中、この高金利が魅力に見える方もいらっしゃるのではないでしょうか。先般、豪ドル投資型日本株投信の設定で1200億円を超える資金が集まったことが報じられました。これは日本株と豪ドルの両方が上がると見ている方の資金が集まったということです。日本株の今後への期待も勿論ですが、豪ドルへの人気が高いことを改めて知らしめたニュースでした。

このところマーケットはアメリカの追加金融緩和策QE3への期待も高まってきており、リスク・オンムードとなっています。今後の株高、豪ドル高に期待が高まるのも不思議ではありません。通貨市場でリスク・オン相場となれば真っ先に買われるのが豪ドルだと考えられます。高金利であることの他にも、オーストラリアの資源の最大の輸出先である中国の堅調に支えられて豪ドルは上昇してきました。しかし、その中国の変調に豪ドルの頭が重くなってきているのです。

オーストリアは資源産業への投資拡大の結果、経済活動が増加しているため、資源輸出量の増減が今後の経済を知る上で最も重要になると考えられています。つまり最大の資源輸出先である中国の経済動向がこれを左右するというわけですが、このところ発表される中国の景気指標は軒並み悪化しており、既に6四半期連続で伸びが鈍化しています。今年第1四半期にも景気が底入れするだろうという楽観もあったのですが、 英大手金融機関HSBCは8月23日、第3・四半期の成長率は政府目標の7.5%を割り込む可能性があると発表しています。また8月28日、中国株は2009年2月以来、約3年7ヵ月ぶりの安値を記録。中国企業の決算も冴えないようですね。中国頼みで成長してきたオーストラリア経済にも影響が出ることが懸念されているのです。

また、オーストラリア財務省は2012年8月17日に 「 豪ドル高がさらに進めば金利を引き下げるべき」との見解を示しています。これは8月10日に発表されたRBA(豪準備銀)声明文で 「持続的に高い豪ドルは、経済を収縮させる可能性がある」 と示した内容と一致しています。これは今後も豪ドル高が続けばオーストラリアが利下げをする可能性があることへの警戒につながります。オーストラリア当局はあまり自国通貨が上がることを歓迎していないということです。

さらに8月24日RBA(豪準備銀行)スティーブンス総裁の半期議会証言では「GDPに占める資源投資の割合は、今後1年~2年(2013年~2014年)にピークになる」とも発言。オーストラリア経済は2013年~2014年にかけ資源産業への投資がピークを迎えるということですから、今後の持続的なオーストラリア経済成長に対してネガティブな見通しと受け止められますね。こうしたオーストラリアの要人発言からも、今後の豪ドルへの強気見通しには疑問が生じています。

またユーロがこのところ買い戻されています。EUR/AUDのチャートを見ると、2009年から継続してきたユーロ安、豪ドル高の修正が起きているのですが、この傾向がもし継続するならば相応のユーロ高の可能性がある反面で同じように相応の豪ドル安の可能性があるものと思っています。再度、豪ドルはパリティ割れの可能性が出てきているとみて、私は、豪ドル売りの戦略を立てているのですが、今週は8月31日のジャクソンホールでのバーナンキ議長講演に注意が必要ですね。アメリカの追加緩和への思惑が広がるようであれば米ドル安となると考えられるため、豪ドルは買われる可能性が出てくるのではないでしょうか。しかし、それも一時的な反応になるかとは思うのですが・・・。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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