第26回 レイバーデー明けから動意づく市場、今年はどっち?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第26回 レイバーデー明けから動意づく市場、今年はどっち?!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

市場が警戒すればするほど何も起こらないものです。
「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく(※)」という相場格言がありますが、今回の8月からのユーロ反騰などはまさにこの言葉の冒頭部分を思わせるものでしたね。欧州債務問題はギリシャからスペイン、イタリアにまで拡大し問題解決に向けての具体策が何も出てこないことへの悲観からユーロ崩壊との見方も市場に広がる中で、ユーロの買い戻しが大きく進んだのです。そしてそれに歩調を合わせて一部のスク資産が買われ始めています。

では、このユーロの買い戻し、そしてリスク・オン相場の地合いは9月以降も継続していくでしょうか。

9月第1週の月曜は、米国の祝日レイバーデーです。レイバーデーの翌日から学生は新学期に入り学生らにとって大きな節目となりますが、マーケットもこれを機に大きく動き出さすとも言われています。例えば市場の中で最も古い商品市場。穀物相場は天候要因からの作柄を材料とする天候相場から秋の収穫量を材料に売買する需給相場へとシフトすることで大きく地合いが変わると言われています。
また、アメリカ小売業にとって最大の商戦となる「クリスマス商戦」に向けての製造や仕入れが始まる時期でもあり、株式市場にとってもここから年末に向けては上がりやすくなるとされています。勿論、これは平常時のサイクルであって景気後退期にはその限りではないのですが。
そして大きくマーケットを動かすであろうファンド勢が市場に戻ってきます。夏休みを終えた金融関係者が帰ってきて、閑散としていた金融市場に活気が戻ってくるのがレイバーデー明け。英米の金融機関やヘッジファンド勢が、本格的に下期のトレーディングをスタートさせるのです。今年のレイバーデーは昨日9月3日月曜でした。つまり、今年で言えば今日9月4日から相場が動意づくということになります。ファンド勢はどのようなスタンスで下半期のトレードをスタートさせるでしょう?!

先週末のジャクソンホールでのバーナンキ議長の講演に市場が注目したのは、アメリカは一層の追加緩和をやるのかどうか、というその1点に尽きるのですが、どうやら市場は早ければ9月のFOMCにでもQE3の可能性あり、と受け止めたようです。
市場がその可能性をどのように捉えたか、というのは金市場を見ていれば明白で、先週のバーナンキ氏の講演から金の上昇に弾みがついています。今年に入ってからの金市場は需給などの独自要因ではなく追加緩和への思惑が価格を動かす相場つきとなっており、金が上がりだしたということは、市場の緩和への期待が大きくなってきていると見ることができます。

しかし、それはあくまで期待が先行して相場が動いているだけのこと。バーナンキ氏はこれまでの発言を踏襲したに過ぎず積極的に緩和について言及があったわけではありませんので、やはりここからも米国の経済指標には神経質に反応することになるでしょう。今週末の雇用統計の数字にマーケットは注目するものと思いますが、その前日に欧州でもECB理事会などの金融政策絡みの大きなイベントが控えており、欧米ともに中央銀行による緩和策、支援策への期待がマーケットを支える材料となっていくものと思われます。つまり、期待が後退することとなればマーケットが崩れるということですので、今週のイベントの内容は非常に重要ですね。

個人的にはまだまだユーロを売りたい人、アメリカの株価は高すぎると言って売りたい人が多いように感じていて、緩和期待だけで好転してしまうマーケットがおかしい、という声があるウチは相場は上がるんじゃないかと考えています。売り方が音を上げて買いに回る頃に買い相場は終わるものですので、まだもう少しユーロや米株のこの相場の上値があるのではないかと。「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」この格言でいえば「懐疑の中で育ち」にあたる相場となりそうだと思っています。

※アメリカの著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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