マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
FXトレードを始めて間もない時期には必勝トレード法を探し歩くものです。賢明にテクニカルを勉強して実践トレードに取り込んでも、騙しばかりでなかなか利益が出ない。そうしてあらゆるテクニカル指標を渡り歩いて検証していくうちに資金がなくなってしまう...。
皆さんはこのようなサイクルに陥ってはいませんか?!
こうした失敗は私も長らく歩んできた道ですが、学べば学ぶほど、相場に必勝法、王道がないことを思い知らされます。テクニカルインジケーターはレンジ相場に強いものとトレンド相場に強いものに分かれますし、どの局面においてもコンスタントに勝率の高いサインを出し続けるものはありません。
しかし、だからといってファンダメンタル要因だけでトレードするのも難しく、数字がいいからその国の通貨が買われるかというと、そうでもありません。マーケットの織り込み度合いやセンチメント(地合い・空気)が、その時々によって指標発表後の反応を大きく変えてしまいます。
今のマーケットはアメリカの指標が悪ければ悪いほどFRBはQE3(追加緩和策)を発動させ、景気のテコ入れをするのではないかという思惑が広がり、逆にマーケット全般がリスクオン相場に傾いたりします。しかも、数字が良くてもリスクオンになるのが今の相場で、「マーケットのセンチメント」がファンダメンタル要因を全て吸収し、結局のところ相場は行きたい方向に行くのだ、というのが真理なのですが、それに気がつくためにはテクニカル分析でもファンダメンタル分析だけでも難しいと思います。
現状の相場のセンチメントを把握して、マーケットがどちらに動きたがっているかを見極めることが大事なのです。そういう勘のようなものを研ぎ澄ませることが、テクニカルの騙しから自身のポジションを守るコツですし、ファンダメンタル材料に振り回されずにポジションを構築できるコツなのですが、では私が具体的にどのようにそうしたトレードの勘のようなものを養っているか書いておきたいと思います。
【1】FT、WSJ、ロイター、ブルームバーグなどのニュースサイト、あるいはTwitter、FacebookなどのSNSで、マーケット関係者がどのような予測を出しているのか、どのような戦略なのかを確認する。
【2】そうした関係者の大勢予想、見通しの方向にマーケットが動いているかを確認。テクニカル分析と照らしあわせて現状の値動きが合致しているかどうかを見る。
→ 大方予想通りの方向に動いている場合、相場はそれを織り込み始めているということ。何かイベント時に予想通りの数字が出た場合は一時的に逆方向に動くことが多いものの、テクニカル分析と合わせて見た場合に、相場が若ければ大きなトレンドに発展する可能性が大きいのです。しかしすでにトレンドとなって長期間推移している場合は、この状況が一番危険。テール・リスク(※)が増していると判断し、私は逃げる準備をするようにしています。
→ 市場予想とは違った動きとなっている場合、相場はまだ疑心暗鬼。方向感がない場合は手を出すべからずですが、大転換の兆しとも言えます。古いシナリオから新しいシナリオへ相場が生まれ変わるポイントでもあるため、テクニカルの好転が見られれば打診買い(売り)を検討します。悲観の中で相場は生まれます。
→ そもそも マーケット関係者の大勢の予想が同じ方向にない場合、相場は拮抗状態ですが、テクニカル分析を使って、この先どちらの予想が優勢なのか見極める目を養っておきましょう。予測がほぼ拮抗状態からどちらかの声が強まり始めたらトレンドが発生していきますが、これが皆同じ声となった途端にトレンドは終了となります。
どんな場合でもポイントは相場が若いか否かです。
トレンド発生時の若い相場でそのトレンドと反対の声が大きいセンチメントは最強、一定期間のトレンドが継続し、誰もが同じ方向を見始めれば相場の終焉だということを覚えておくとよいでしょう。
基本は「人の行く裏に道あり花の山」ですが、皆の声が揃って暫くは相場が安定トレンドとしてクライマックスまでは止まらないもの。つまり、逆のポジションを作るのが早すぎると苦労しますのでタイミングも重要なんですよね。私は、そのポジショニングのタイミングを計るのにテクニカル分析を使い、過熱感をチェックしています。ファンダメンタル要因はそうしたセンチメントを大きく変えてしまう可能性のあるものとして注視し続ける必要があるでしょう。
(※)テール・リスクとは、発生確率が小さいが、生じると大きな損失のこと
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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