第28回 FRBには逆らうな?!それでも今週は円安の可能性 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第28回 FRBには逆らうな?!それでも今週は円安の可能性 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

「FRBには逆らうな」ウォール街にはこんな格言があります。かつて中央銀行の政策の裏をかこうとした金融機関や投資家達のほとんどが失敗してきたことから、「FRB(米連邦準備理事会)には逆らうな」という格言となり戒めとなっているのですが、兜町にも「国策には逆らうな」とか「国策に売りなし」という同じ意味を持つ相場格言がありますね。

通常、市場のことは市場にまかせておけというのが市場経済の原則ですが、特にサブプライム、リーマン・ショック以降はそうした市場原理主義が行き詰まり、政策の関与がなければマーケットが崩壊してしまいかねない脆弱な構造となってしまっています。市場に任せておけば自浄作用が働き、問題は収束していくという考え方は幻想にすぎず、欧州もアメリカも中央銀行のオペレーション抜きでは支えられない程に悪化してしまっていることを考えると、「実体経済は良くないのだから」と売り目線でマーケットに挑みたくもなるのですが、国や中央銀行が政策としてマーケットに介入してくる場合、効果を上げるまで徹底的にやるわけですから裏をかこうと逆張りしても敵わない、ということを忘れてはならないでしょう。

FRBは9月13 日開催のFOMC で事実上のゼロ金利を維持する時間軸を2015 年半ばへ約半年延長し、MBS(住宅ローン担保証券)を毎月400 億ドル買入れる追加措置(QE3)の導入を決定しました。オープンエンド方式といって、終了時期は設定せずその金額や構成はコストと効果を見ながら随時判断するスタイルを取ったこともインパクトとなりました。要するに、労働市場の見通しが大幅に改善するまで資産買い入れを継続する方針であることを示したのです。

それでも経済情勢が弱い場合には国債購入など追加措置を講じる可能性も示唆しています。事前予想を超えた非常に積極的な量的緩和策に驚いたマーケットは、大きくドル安に反応。株や商品などのリスク資産も大きく買われる展開となりました。ECB(欧州中央銀行)も南欧国債の無制限購入を発表しており、これで目先のスペインの破綻リスクが遠のいたことからマーケットは積極的なリスクテイク相場へと発展しています。

ではここからのマーケットです。ドル/円相場に焦点を当てて今後の動向を考えてみましょう。アメリカが緩和策を発表したのですから、ドル安となります。実際に先週FOMCの後ドル円相場は77.12円まで円高ドル安が進行しました。しかし、その後急速に切り返し月曜夜には78円台後半まで円安ドル高となっています。対ユーロ相場ではドル安が進行し続ける中、何故対円でのドル安が止まってしまったのでしょうか。

「国策には逆らうな」です。
FOMC後のドル/円最安値圏で日銀によるレートチェックが実施されました。レートチェックとは日本銀行が民間銀行に現在の為替レート水準を聞くことを指すのですが、過去の事例から中央銀行がレートチェックを行うのは、その水準の為替レートが望ましくないと思われるという意思表示であり、レートチェックの実施が伝わると、相場への当局の介入警戒感が高まります。こうした日銀の動きから、マーケットは急速に今週の日銀の金融政策決定会合を意識し始めました。FOMCが終わってドル円相場はすぐに次の国策、日銀の金融政策決定会合に注目し始めた、ということでしょう。

欧米が緩和に踏み切ったこともあり、今週の会合で何らかの追加緩和策を発表するのではないか、という期待が高まりつつあることが、一方的な円高進行を回避する流れとなっているようです。ただし、来月には展望レポートも発表されるということもあり、展望レポートと同時に追加緩和を実施するとの予想も強く、本当に実施するか否かはまだ予想が拮抗している状況ですが・・・。

日銀が動くかどうか?
今週のドル/円相場は明日水曜の日銀の金融政策決定会合で日銀が動けば円安に。動かなければ失望からFRBの政策に逆らうことなく、ドル安円高に動く相場となりそうです。また、仮に日銀が動いたとしてもアメリカを超えるインパクトとなる政策が出るとは考えにくく、日銀が動いて一時的に円安が進行したとしても、結局は世界を動かすのは思い切った緩和策を発表したFRBの政策に則ったマーケットに収束していくこととなるでしょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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