第31回 何を見て取引すればいいの?!通貨ペア毎のトレード指標 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第31回 何を見て取引すればいいの?!通貨ペア毎のトレード指標 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】


輸入業者や輸出業者など実需による売買、ファンド勢による短期売買、各国中央銀行の政策による金利差、マネタリーベース比、貿易収支に雇用統計といった経済指標等など...為替の変動要因は様々です。全て大事ですし変動要因とみなして間違いではないのですが、こうした材料がどの程度現在のマーケットにとって重要なのかはその時の環境にもよりますし、これらを全てウォッチしてトレードに活かすのは大変です。ですから市場はもっとシンプルにトレードに活かすことができる指標となるものを常に探しています。今回は主だった通貨ペアのトレードに役立つ(かもしれない?!)指標を紹介したいと思います。ただし、これらは現在の環境に於いて相関性が見られるということであり、それが絶対的なものでないことは予めご了承ください。

◆ドル/円~米2年物国債利回り(名目金利差)

ドル/円相場と米国債2年物の金利差には高い相関が見られるとして長く関係者の間では指標とされています。米国債金利が上昇すれば金利が高いほうへ、つまりドルへ資金が流れ、ドル円相場が上昇します。しかし2007年には4%台にあった米 2 年債金利は今や政策金利と見合うまで低下しており、もともとゼロ近辺であった日本の同金利と 0.1%ほどしか差がない水準となってしまっています。ドルが売られ円高になってしまっているのはこのためですが、更に言うと今年 5月以降の米金利は0.2%台で横ばいに推移してしまっており、これが現在のドル/円相場の膠着感に繋がっているとも言えるでしょう。

チャートを重ね合わせてみるとかなり高い相関があることが確認できますが、時に大きな乖離を見せることがあります。言うまでもなく金利差以外の要因による為替変動もあるということを意味しているのですが、例えば2012年2月から4月、大きく日米金利差からかけ離れたドル買いが進行しました。この時は円安要因とされる日本の貿易赤字化がクローズアップされた時期だったこともありますが、同時に日銀が物価目標導入を表明したことが短期筋の円売りを誘って日米金利差を上回る大きな円安ドル高進行となりました。こうした投機筋の取引や、財政不安や地政学リスク、インフレ、為替介入などなど、突発的に金利差から大きく乖離して為替を動かす材料が飛び出すこともあるので注意が必要です。

◆ユーロ/ドル→金相場、プラチナ相場(あるいはCRBインデックス)

通貨チャートと商品チャートは長期チャートを照らし合わせて同じ形になることはほとんどありません。通貨は2国間の通貨の相対的な価値であるため、どこまでも上がることは無いのですが、商品の価値は状況によっては未踏の領域に入って高騰する可能性がある為当たり前といえば当たり前のことですね。そうした絶対的な違いはありますが、短期的な変動だけを比較すれば非常に高い相関が見られるものをトレードの指標にすることもできます。例えばユーロ/ドルと金相場。単純にドル安となれば金が買われるという事ですが、通貨の価値が下がればモノの値段が上がると考えれば解りやすいでしょうか。特に金価格はアメリカの金融政策QEと高い相関が見られQE1導入期間中の金価格は50%あまりも上昇し、QE2導入期間中の金価格は25%近くも上昇しています。つまり、金が上昇する動きを見せ始めたということは、ドル安となることを示唆しており、ひいてはユ-ロが上昇するということを示唆するとしてこれを指標として見ることもできるのです。
長くなりますので、この続きはまた次回に!

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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