第42回 「モルガン・スタンレーのびっくり予想から2013年の為替市場を占う~②」 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第42回 「モルガン・スタンレーのびっくり予想から2013年の為替市場を占う~②」 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

為替市場はクリスマスには動きませんが、クリスマスが明けると欧米勢は来年に向けたトレードを積極的に開始します。彼らの来年のテーマは何でしょうか。2012年は大きくギリシャ離脱問題、QE3発動の思惑、日本の政局へとテーマがシフトし、ユーロからドル、円へとトレードのメイン通貨が動きました。来年も日本のデフレ脱却、リフレ政策が彼らの関心を惹くでしょうから、円がメイン通貨となってくると思いますが、やはりまだまだ抜本的な解決と成長の見込みが見いだせない欧州問題が再燃し、ユーロ売りとなる時がやってくるのではないか、と思っています。

先週のコラムで「モルガン・スタンレー2013年のマクロ経済びっくり予想」の可能性は低いものの実現した場合の影響が大きい世界経済のリスクシナリオ17項目から2つ気になる予想を取り上げましたが、来年の大きなテーマとなりそうな的中率の高そうな?ものを今回も3つばかり取り上げてみたいと思います。
先週のコラム
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2012/12/18.html

◆「日銀がCPIに基づくインフレ目標を導入するが物価指数は13年末時点でも前年比マイナスにとどまり14年以降も金融緩和を継続。」

→すでに次回の日銀金融政策決定会合ではインフレ目標2%の導入があるのではないか、という観測がありますが、それでも13年中には目標に届かず緩和策継続、ということになると円安は2014年に向けても継続する本格的トレンドとなりそうです。

◆「イタリアで総選挙に向けて反緊縮運動が高まり、投資家はイタリアのユーロ圏離脱を心配し始める。イタリアは欧州安定メカニズム(ESM)に支援要請し、国債買い取りプログラム(OMT)の最初の支援対象国になる」

→2012年、OMTの最初の支援対象国となるのはスペインではないかと予想されていましたが、そのスペインより先にイタリアに危機が?!イタリアの政府債務は約2兆ユーロ近くまで膨れ上がっており、ギリシャ債務の5~6倍もあります。イタリアにまで危機が及び国債金利が急騰することがあれば、2012年に経験したようなユーロ売りが再び市場を襲うこととなるでしょう。今はショートカバーで大きく買い戻されたユーロ/ドル相場ですが、2013年は再び1.2000ドルを割り込みパリティ(1ユーロ1ドル)を目指すようなドラスティックな相場があるのではないかと思っています。イタリアへ波及するとなればそのインパクトはギリシャやスペインの比ではありません。その時、ドル/円相場は大局での円安トレンドは堅持出来ても、一時的には大きくリスク回避の円買いが進行すると考えています。

◆「米英日の財務省が、量的緩和に伴って中央銀行に買い取らせた国債の棒引きを宣言する。中銀は債務超過になるが、各国政府の債務は減り、格付け会社は高く評価する」

→一番のびっくりはこれ。国債の棒引きというと、今年ギリシャ国債が買値の3分の1程度にまで棒引きされた(ヘアカットという言葉で騒がれましたね)ことが記憶に新しいのですが、ギリシャに返済出来ないことは誰の目にも明白であったことと、ギリシャがお手上げ(破綻)してしまうとスペインやイタリアなどの周縁国に国債デフォルトの懸念が波及するリスクがあったため、債務を棒引きしてでも助けてやらないといけなかったわけです。ギリシャに返済の意志が見られないことが忌々しいというドイツの気持ちも解らないでもないですが、まあ、ギリシャならなんでもありかな、という諦めもありますね。
しかし、これがアメリカ、日本、イギリスといった先進国で起こるとはどういうことでしょう?!棒引きが決められる前に、先進国国債に破綻の懸念が広がるということですから、マーケットが混乱するのは避けられません。現在のところ2013年は比較的穏やかで安定したリスク選好相場となる予想が多いですが、テールリスクはあらゆるところに潜んでいそうです。今、マーケットはドル/円相場が早期に90円達成すると見ていますが、突発的な急落、大調整にはご注意!?というところでしょうか。

それでは皆さんMerry Christmas!

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount 

@hirokoFR

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧