マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
中国の株式市場が好調です。昨年暮れからの上昇局面は2ヶ月を超え、投資家心理も急速に明るさを増しています。
指標となる上海総合指数は、昨年11月27日に2,000ポイントを割り込み、その後リーマンショック後の急落以来4年ぶりとなる安値1,949ポイントをつけましたが、12月上旬から反発し、2月1日には9ヶ月ぶりに2,400ポイントを回復しました。この間の上昇率は23%になります。
こちらの新聞には、証券会社店頭の株価ボードを笑顔で眺める個人投資家の写真が掲載されています。
株価下落局面では、人民元高や欧州の経済危機により、輸出依存度の高い中国経済が失速するのではとの懸念が広がっていたのですが、直近で発表されたマクロ経済指標が、総じて堅調であったことから、これが株価の回復をもたらしたと分析されています。
例えば、2012年のGDP(国内総生産)成長率は7.8%で、前年の9.3%を下回り、過去13年間の最低となったものの、政府が設定した目標値7.5%を上回りました。またエコノミストによる今年の成長率予想は概ね8%台で、成長鈍化に歯止めがかかったとの見方が有力となっています。
また、2012年の消費者物価上昇率が2.6%となり、政府が目標(上限)としていた4%を大きく下回ったことで、急激なインフレのリスクが後退したと見られることも、株価の上昇要因になったと伝えられています。
経済成長率以外にも、製造業の活動状況の指標となる購買担当者指数(PMI)が高水準にあること等、好材料が認められています。
さらには、拡大を続ける個人消費や、株価指標の落ち着き(PER(株価収益率)は安定しており、過熱感は見られません。)も、株価上昇が今後も持続するとの安心感をもたらしています。
勿論、「既に割安感は無くなっている」あるいは「今後一段の上昇には材料不足」等の懐疑的な声も聞こえますが、A株(国内株)市場への海外投資家の投資枠拡大等追い風要因もあり、さらには来月開催予定の全国人民代表大会(日本の国会に相当)で習近平体制への完全移行が行われ、同体制下で経済の安定化が図られると見られていることも、上昇持続への期待を高めています。
日本の個人投資家は、中国のA株(国内株)を直接購入することは出来ませんが、投資信託の形で間接的に投資することが出来ます。
中国の株式市場は、参加者のほとんどが個人投資家で、相場が一方に振れやすい傾向があります。
2007年10月の史上最高値6,124ポイントからはまだ4割程度の水準にあり、含み損を抱えている投資家も多いのですが、経済成長とあわせ、持続的な株価の上昇を期待したく思います。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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