マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
中国で新聞やテレビニュースを見ていますと、アフリカ大陸関係の報道が大変多いことに気づきます。
不幸にも日本人10名が犠牲となったアルジェリアでのテロ事件や、西部マリでの内戦についても、大きく報じていました。
中東シリアでの内戦を含め、テレビニュースでは戦闘の最前線と思われる地域に若い女性記者が立ち、レポートをしていたのが印象的でした。
このような報道姿勢の背景には、近年中国がアフリカ諸国のインフラ開発の支援に力を入れていることが挙げられます。
中国は、相手国への資金援助と設計、施工を一括して行っており、現場での作業要員も送り込んでいることが大きな特徴です。エチオピア、スーダン、リビア等多くの国で、中国の援助による道路や国際会議場等のインフラ整備事業が行われています。
中国とアフリカ諸国の関係の緊密さを象徴するように、北京からはアルジェ(アルジェリア)、アディスアベバ(エチオピア)あるいはヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)等、日本からは直行便の無い都市に航空便が就航しています。
中国人の労働者は、劣悪な環境下でも懸命に働くとのことで、各国政府の中国への信頼は厚いものがあります。
一方、「力を入れるのは天然資源があるところだけ」、あるいは「中国人だけで固まり地元住民とトラブルを起こす」等の批判があるのも事実です。しかしながら、資金も人材も足りないアフリカ諸国としては、中国の丸抱えによるほかに方法が無いのが現状です。
アフリカ諸国は、アフリカ連合(AU)の下で、2019年までを目途に、経済統合を進める計画で、将来的にはユーロのような統一通貨を導入することも検討しています。
中国がアフリカ大陸の天然資源と、将来の消費市場への参入を狙っていることは明らかですが、政情が落ち着き、経済が成長軌道に乗った時に、その恩恵を享受するのは専ら中国ということになるのかもしれません。
地理的、歴史的な関係から、日本からはなかなか目の向きにくいアフリカ諸国ですが、中国の動向を見ますと、このままで良いのかという問題意識に駆られます。
アルジェリアでのテロ事件は大変不幸な出来事でしたが、将来を睨み、日本も官民挙げて対応強化を考えるべきではないかと思います。
=====================================
コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
マネックスからのご留意事項
「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。