マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
日本でも影響が懸念されている中国の大気汚染ですが、北京等大都市だけの問題ではなく、華北地方を中心に全国規模で広がっています。
昨日5日から開催されている全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)でも、環境問題が重要議題の一つと報じられています。
大気汚染の原因は、自動車の排気ガス、暖房用の石炭燃焼、工場の排煙、建設現場の埃等と言われていますが、このうち自動車の排気ガスが占める割合は、様々な推計によると2割から5割近いとされており、主要な汚染源であることは確かです。
このため、
(1) 新たに生産、販売される自動車についての排ガス規制
(2) ガソリン及び軽油の品質向上(硫黄分の削減)
の両面で、規制が強化されつつあります。
中国の規制は、ユーロ諸国でのものに概ね準じており、北京市では先月より、現在のユーロ圏での規制「ユーロ5」を踏襲した「北京5」規制が施行されています。
市内で販売されるガソリン、軽油は同規制に適合したものとなっており、また今月からは、同規制を充足しない新車の販売が禁止されています。
このように、北京市では先行して規制が強化されており、今年の中頃には上海市も追随する予定だそうですが、一段階下の規制となる「中国4」でさえ、現状では上海市、珠江デルタ地域(南部広州市周辺)及び江蘇省(上海市の隣)のみでの施行となっており、全国的には、さらに緩い「中国3」レベルの規制に止まっています。
「北京5」規制は、将来「中国5」規制として全国で施行される予定とのことですが、その時期は2017年頃になるとも言われており、大気汚染問題の解決への道程は長そうです。
また、新車及び燃料への規制強化では解決できない問題として、
(1) 排ガス規制の無い、あるいは緩い時期に製造販売された旧型車の存在(2) ディーゼル車の排気問題(軽油の品質規制はガソリンよりも緩い)
があります。
2011年時点で、全国で登録済の自動車のうち9.5%が、排ガス規制の適用以前に製造販売されたもので、この9.5%の車が、排ガス全体の40%以上を排出しているそうです。
同様に、2011年の登録車のうち、ディーゼル車は17%なのですが、これらが排ガス全体の70%を排出しているそうです。
さすがに北京の中心部では見かけませんが、少し郊外に出ますと、巨大なトラックが黒煙を噴き上げて走行しています。
一方で、現行の規制である「中国4」あるいは「北京5」を充足する車は、全体の5.7%に止まっています。
さらに、経済発展により、自動車の需要が急増しています。
中国交通運輸省の見通しによれば、2011年末時点の自動車保有台数1億台超に対し、2020年には2億台を超えるそうです(因みに日本の自動車保有台数は昨年11月末で8,000万台弱です。)。
増加する自動車と、規制強化とのいたちごっこになりそうです。
中国で発生している汚染物質は、偏西風に乗り日本にも飛来しているとされ、また東南アジアあるいはインド方面にも飛散していると言われています。
もはや国内問題に止まらない大気汚染の減少に、発展とのバランスを図りつつどのように取り組むのか、新体制となる中国政府の手腕が問われるところです。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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