第7回 証券当局は法令違反に厳格に対応【北京駐在員事務所から】

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第7回 証券当局は法令違反に厳格に対応【北京駐在員事務所から】

17日(日)に閉幕した中国全人代(全国人民代表大会)で、習近平国家主席以下、政府の新体制が発足しましたが、証券行政を取り仕切る中国証券監督管理委員会(CSRC)の委員長も、前任の郭樹清氏から肖鋼氏に交代しました。

CSRCは、中国の証券市場、証券会社、上場企業及び投資家に関する立法と行政を一手に担う機関で、日本の金融庁と証券取引等監視委員会の機能を有しています。

新たに就任した肖委員長は、早速22日(金)に、上場会社3社に対し、虚偽の、あるいは誤解を与える情報を開示した疑いで、検査を行う旨の通知を行ったと伝えられ、CSRCが法令違反に厳格に対応する姿勢を明確にしたと評価されています。

前任の郭委員長も、1年5ヶ月の在任期間中に、証券関連の法令68件を新たに制定あるいは改訂しており、これはCSRCの歴代委員長の中で最多となったそうです。
肖委員長も、郭前委員長の法令順守強化の路線を継承するものと見られています。

中国の証券市場に対しては、以前より情報開示に関する不正(意図的に虚偽の情報を流布する等)や株価操作等が横行しているとの批判があります。
昨年、CSRCは、前年を31%上回る380件の法令違反疑い案件を取り扱い、このうちの316件(前年比21%増、過去最高の件数)について詳細な調査を実施したとのことです。

株式新規上場(IPO)についても、上場申請書類及び審査プロセスを再度精査するとのことで、現在案件がストップしています。
こちらも近日中に作業が再開され、案件処理が進む見込みと伝えられています。
中国の証券市場は、これまで市場参加者のほとんどが国内の個人投資家で、値動きが激しい(荒い)ことが問題とされていました。
このため、政府は規制緩和により、機関投資家や香港在住の個人等を対象に、国内市場参加への門を開き、資金を呼び込もうとしています。
規制緩和も重要ですが、海外投資家の参入を進めるためには、市場の信頼性という観点で、諸外国と同程度の透明性、公平性を維持することも必要不可欠です。
新体制となったCSRCの動向が今後も注目されます。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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