マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
新年度入りです。今週は、昨年11月半ばからスタートしたアベノミクス相場が新しいステージに入るのか失望に終るのか真価が問われる、新体制下で初となる3~4日の日銀金融政策決定会合が開催されます。すでにマーケットは黒田新総裁の発言などから「異次元の金融緩和」の具体策への観測報道が繰り広げられており、織り込みが進んでいるとも言われていますが、現在までのところどのような緩和策が予想されており、マーケットはどのように反応するでしょうか。
現在市場が予想している緩和策には
(1)国債買い入れ年限の長期化(3年から5年へ~もしくは10年へ)
(2)リスク性資産の購入
(3)オープンエンド方式(無期限)資産購入の前倒し
(4)日銀券ルールの撤廃(金融調節の買入(輪番オペ)と資産買入等基金の統合)
などが挙げられますが、すでに報道にあるようにこれらの政策が発表されてもサプライズ感を打ち出すのが難しく、マーケットは「Sell the fact(事実売り)」となってしまうのではないか、という冷静な指摘が多い印象です。
※一時盛んに取り上げられた官民協調外債ファンドによる外債購入は、外債を購入する際、為替市場で円を売って外貨を買うので為替介入とみなされるため出来ないとされています。2月のG20 では「通貨安競争」をしないことを確認し「円安誘導」と受け取られる金融緩和を行わないことで、急激な円安進行も日本が名指しで批判されることは回避したという経緯がありました。実際麻生財務相が2月に「外債購入する気はない」と明言しています。
しかし今、安倍総理大臣の脳裏にあるのは7月の参院選での自民、公明両党の勝利による衆参ねじれ国会の解消。参院選での勝利に向けては¥、なりふり構わず金融緩和と財政出動を打ち出すだろう、という期待がこの大相場を形成してきました。その安倍総理の肝煎りでスタートする黒田新日銀体制が、市場の失望を誘うような結果を容認するのか?!という強気の声も消えてはいません。
政策内容だけを取ってみると市場に予想し尽された感が拭えぬことが懸念材料ですが、黒田新総裁が会見で、今後の緩和に向け継続した期待を残せるかどうかが焦点になってくるのでしょう。このアベノミクス相場のトレンドを崩さずに保てるかどうか。白川前総裁が得意ではなかった「市場との対話」が問われることとなりそうです。
もう一つの予想として、購入対象国債の残存年限は現在の3年から5年への延長までに留め、さらに銀行券ルールの撤廃までには踏み込まないという見方もあります。購入対象国債もすでに5年への延長ではインパクトに欠けるといわれていますが、10年という長いものを買うという決定と銀行券ルール撤廃という決定も先送りするという予想です。ひとつには4月は日銀の金融政策決定会合が2回あり、2回目の4月26日は経済・物価情勢の展望が発表されるため、これに合わせてやるのではないかという尤もらしい見方もありますが、それよりも最初から飛ばしすぎると今後が厳しくなるだろうという懸念から、期待を繋ぐための小出し作戦を取るのではないかというシナリオですね。参院選は7月です。11月半ばから、ほとんど押し目のない上昇トレンドが4か月あまり続いているのですが、このまま7月までトレンドを維持させることができるでしょうか。このところは日経平均も13,000円の大台を前に上値が重くなってきており、ドル円相場も97円台が重く96円から93円台までの調整局面に入っています。それでも日銀への期待から大きく崩れることがないため、買っても上がらず、売っても下がらずの膠着相場となってしまいました。このような相場は一度ふるい落とし(大きな調整)が入ってからでないと再上昇しにくいものですね...。7月参院選に向けて6月7月のマーケットが良い環境であることが票を最も獲得できる重要なファクターであることを考えると、4月の最初の日銀で出し尽すようなことはせず、相場を一度ふるい落としてから次の手を出すというシナリオを描くのではないか、という予想もあることも念頭に入れておきたいところです。発表に湧いて一度噴き上げたところが目先の高値となり、大きな調整が入る可能性が高いと読んでいますが、アベノミクス相場、尋常ではない歴史的大転換の初動ですので、そのまま上に飛び跳ねても落ちてこないというダイナミックな相場となる可能性も否定できません。発表直前にマーケットが弱気に傾いているようでしたら、後者のシナリオもあり、、、かな?!
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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