第10回 環境問題が中国旅行業界への逆風に【北京駐在員事務所から】

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第10回 環境問題が中国旅行業界への逆風に【北京駐在員事務所から】

中国の環境汚染の問題は、このところ連日のように報道されていますが、これが海外からの訪問客の動向にも影響を与えています。
9日(火)に、中国国家旅遊局(日本の観光庁に相当)付属の研究機関が発表した、中国の旅行業界に関する調査結果によりますと、本年1~3月に中国を訪問した外国人旅行客数(推定値)は3,166万人で、前年同期比1.8%減となったそうです。

また、同期間中の、外国人旅行客による中国国内での消費額(中国国内での売上高)は、推計で約113億米ドル(約1兆1,000億円)で、前年同期比3%減となりました。

旅行者数や売上高の減少に加え、統計調査とあわせ実施された旅行客に対するアンケート調査からは、訪中旅行客の満足度も低下しているとの結果が出ています。
満足度指数は100点満点中の77.62で、前年同期から5.83ポイント、また昨年の第4四半期(10~12月)からは9.16ポイント低下しました。
中でも、大気汚染や水質悪化への懸念が強く、旅行客の満足度を下げていると指摘されています。

主要60都市を対象に行ったアンケート調査では、

・江蘇省蘇州市(「東洋のヴェニス」と呼ばれる水の都)
・安徽省黄山市(世界遺産「黄山」で有名)
・四川省成都市(世界遺産「九寨溝」やパンダ観光で有名)

が満足度上位となりました。
いずれも、環境汚染の問題が比較的軽微とされる中部の都市です。

第2四半期(4~6月)は観光のピークシーズンとなることから、調査担当者は、政府が環境汚染対策を打ち出し、外国人旅行客の懸念を払拭することで、旅行者数は回復から増加に転じると期待しています。
一方、新型鳥インフルエンザの広がり次第では、旅行業界に深刻な影響が生じかねないと指摘し、政府の透明性ある情報公開を求めたいと述べていました。

日本からの訪問客は、昨年秋からの尖閣諸島を巡る問題の影響もあり減少していますが、環境問題だけを見ても、現状では観光旅行はちょっとためらわれてしまう状況です。
これから5月頃まで、また秋が観光のベストシーズンとなりますが、環境汚染問題が少しでも改善に向かい、旅行を楽しめるようになることを願いたく思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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